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山本神父入門講座

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12. 十二使徒の任命

宣教を始めたイエスが最初に招いた弟子は、すでに述べたようにペトロ、ゼベダイの子ヤコボ、ヨハネの兄弟と徴税人レビであった。その後もイエスに従う人は増えて行った。

「そのころ、イエスは、祈るために山に行き、神に祈って夜を明かされた。」(ルカ 6.12)

ヘルモン山
ヘルモン山

イエスは、たびたび人から離れて祈られたが、大切なことを決めたり、したりする時は、特別にお祈りになった。今回は徹夜で祈られたと書いてあるから、よほど重大なことがあったに違いない。


「朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。」(ルカ 6.13) なぜ、イエスは弟子と区別して、十二人の使徒を任命されたのだろうか。この点は、マルコの方がルカよりもはっきり書いている、「彼らを自分のそばに置くため、また、派遣して宣教させ、悪霊を追い出す権能を持たせるためであった。」(マルコ 3.14-15) この十二人はイエスの側近、イエスが使命を果たす上で、いつもそばにいて行動をともにし、必要があれば、イエスの代理を勤める協力者に任命されたのである。

そのような役割を果たすためには、使命に合った権能が必要でなる。だから「悪霊を追い出す権能を持たせるため」と書かれているのである。イエスがおこなったわざのなかで、悪霊に取りつかれた人のいやしは、もっとも強烈な印象を与える。人間に取りつき、行動の自由を奪い、その人を支配してしまう悪霊を、一言のもとに追い出す力は、ただ神からのものと人びとは感じていた。イエスはその権能を十二使徒に授けようとしていた。名実ともにイエスの代理が勤まるようにするためである。


ところで、十二人はこんな大変な職務に、どのようにして選抜されたのだろうか。マルコは、「イエスが山に登って、これと思う人々を呼び寄せられると、彼らはそばに集まってきた。そこで、十二人を任命し、使徒と名付けられた」(マルコ3.13-14)としか書いていない。ペトロは漁師だったし、他の弟子たちも特にすぐれた知識の持主ではなかった。彼らに資格や能力があった訳ではない。イエスが「これと思った」から選ばれたのである。まさに、「あなたがたがわたしを選んだのではないわたしがあなたがたを選んだ。」(ヨハネ15.16)というイエスのことば通りである。その十二使徒はどんな人びとだったのか。ルカ福音書によれば、「それは、イエスがペトロと名付けられたシモン、その兄弟アンデレ、そして、ヤコブ、ヨハネ、フィリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルファイの子ヤコブ、熱心党と呼ばれたシモン、ヤコブの子ユダ、それに後に裏切り者になったイスカリオのユダである。

このようにして、イエスの側近、協力者、代理を勤める十二使徒が任命されたが、これから彼らの養成、教育が始まるのである。イエスに呼ばれ、それに応えれば、即、完成というほど信仰の道は簡単ではない。使徒たちの歩みを見守りながら、自分たちの歩みの励みとしよう。


(注)十二使徒の名簿は順序に多少の相違がある。         
ルカ福音書(6.14-16) マルコ福音書(3.16-19) マタイ福音書(10.2-4)
ペトロと名付けられた
シモン
シモン・ペトロ ペトロと呼ばれるシモン
兄弟アンデレ ゼベダイの子ヤコブ その兄弟アンデレ
ヤコブ ヨコブの兄弟ヨハネ ゼベダイの子ヤコブ
ヨハネ アンデレ その兄弟ヨハネ
フィリポ フィリポ フィリポ
バルトロマイ バルトロマイ バルトロマイ
 (ヨハネ福音書1.44に登場するナタナエルと同一人物と考えられている)

マタイ マタイ トマス
トマス トマス 徴税人のマタイ
アルファイの子ヤコブ アルファイの子ヤコブ アルファイの子ヤコブ
熱心党シモン タダイ タダイ
ヤコブの子ユダ 熱心党シモン 熱心党シモン
イスカリオテのユダ イスカリオテのユダ イスカリオテのユダ

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