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第20回 人間


第6節 人間

人間は、「神にかたどって」造られ、「男と女に創造された」と、創世記には書かれています。人間のうちに、霊的世界と物質的世界とが一つになっており、神との交わりにあずかることができます。このことについて、少し詳しく見ていきましょう。


1 「神にかたどって」

人間については、「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう」(創世記1.26)と創世記に書かれています。他の被造物については、神にかたどって造られたという表現はありません。人間だけが神のいのちにあずかるように招かれています。この目的のために、人間は造られたのです。ここにこそ、人間の尊厳の根拠があります。神にかたどられて造られているので、人間にはペルソナとしての尊厳が備わっています。ですから、人間は単なる「もの」ではなく、人格としての存在です。

人は理性をもって正しいことを理解し、それに従って行動する意志を持っています。つまり、人は自由な人格です。神は、私たち人間のために、すべてのものを創造してくださいました。しかし、それは、人間が勝手気ままに使っていいのだということではありません。人間が造られたのは、神に仕え、神を愛し、被造物のすべてを神にささげるためでした。このことを悟るためには、「人となられたみことば」である神の子イエス・キリストの神秘によらなければ、その深い意味を知ることはできません。神が人を創造されたことに、全人類誕生の起源があります。ですから、全世界のすべての民族、種族は、みんな兄弟姉妹なのです。


2 「肉体と霊魂から成っている一つの存在者」

天地創造の聖書の箇所は、もうすでに何度もお読みになったことでしょう。その中で、神が人を土のちりで形を作り、その鼻に息を吹き込まれると、人は生きるものとなった、と書かれていた箇所があったことに、気づかれましたか? これは、人間が被造物の中で、特別な存在であり、肉体的な存在であり、同時に霊的な存在であることを表しています。

人間は、他の動物と同じく、生物学的法則によって誕生し、自然や社会環境との共存によって生きています。しかし同時に人は「神の息」、つまり、「いのち」を持ち、神とのつながりを持つ存在でもあります。また、聖書を読むと、しばしば「魂」という言葉が出てきます。これは、「人間のいのち」を表したり、「人間のペルソナ」を指したり、もっとも深い人間の霊的原理である「霊魂」を指していることがあります。

霊魂と肉体は一人の人の中で、分かちがたく結びついています。ですから、精神と物質という二つの本性を持った人間ではなく、この結合によってただ一つの本性を持つ人間が形成されているのです。私たちは、肉体的にはそれぞれの両親から生まれますが、霊魂は、直接神によって創造されたものです。この霊魂は、肉体が死の時にも滅びることなく、不滅です。


3 「男と女に創造された」

男女の平等も相違も神の望みによる

人間の男女は、神のお望みによって、人格的にはまったく平等の存在として、しかし、男と女という違いを持つ存在として創造されました。


相互のため」───「二人は一体」

男性と女性は「相互のために」造られました。これは、神が人間をお互いが助け合わなければ存在しえない「不完全な」人間として造られたからではありません。他の人間とかかわらなければ、本当に人間らしい人間にはなれないということです。

男性と女性は、人間としてまったく平等の存在ですが、お互いが協力し合って、補い合う存在としてつくられたのです。この世の営みの中で、人と人が助け合い、支え合って生きていくことほど貴いことはありません。神は結婚によって、男性と女性を結び合わせ、二人が「一体」となって、いのちを伝えることができるようになさったのです。男性と女性は、夫婦として、親として、創造主のわざに協力していくのです。

神のお望みは、人間が自分たちにゆだねられた世界に対して、「存在するもの全てを愛される」神にならい、被造物に責任をもって生きることです。


4 楽園における人間

創世記に描かれた最初の人間は、「よい」ものとして造られただけでなく、神との親しい交わりを保っていました。人祖アダムとエバは、神のいのちに参与するという恵みを与えられていました。神との親しい交わりに留まっていさえすれば、人間は死ぬことも、苦しむこともなかったはずです。この最初の恵みに満ちた状態のことを、教会は「原初の義」と呼んでいます。

神が人間にお与えになった世界の「支配」は、まず、自分自身の「自己支配」というかたちで実現されていました。神との親しさのしるしは、人間を楽園に置かれたことでした。そこで、人間は楽園を耕しましたが、その労働は苦しみではなく、男女が神に協力して、被造界を完成させるという仕事でした。しかし、神のご計画は、人祖が罪を犯すことによって失われてしまいます。

ここでも、最後に、380~384項までの「要約」が付いています。ぜひ、ご覧ください。

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