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第65回 どのように挙行するのか –(1)


前回は、秘跡を授ける役割を負った人についてみてみました。今回は、どのように秘跡を授けるのかについて、ご一緒に考えてみたいと思います。


2. どのように挙行するのか

しるしと象徴

キリスト教の秘跡祭儀は、いろいろな「しるし」と「象徴」から成り立っています。神は、人間の救いの歴史をとおして、徐々にその意味を明らかにされ、人間に教えてくださいました。しかし、その意味が完全に明らかにされるのは、イエス・キリストにおいてです。


人間世界のさまざまなしるし

私たちを取り巻く人間社会、生活においては、さまざまな「しるし」や「象徴」があります。それは、私たちが精神的な存在であると同時に、物質的存在だからです。私たちは、自分の行動を見てみると、そのしるしや象徴を使って、精神的なものを表現したりしています。さらに、他の人とのコミュニケーションをスムーズに行うためにも、言葉や身振りなどのしるしや象徴を使っています。私たち人間同士が社会生活を送るために、必須のこの「しるし」と「象徴」は、実は、神と人との関係についても、同じことが言えるのです。

神は人間にご自分のお考えを伝えようと思われる時、私たちの目に見えること、感じ取られることを通して語られるのです。ですから、大自然の雄大さに接した時、また、光と闇、水と土などは、神の偉大さ、神が私たちの身近におられることを感じさせてくれることがあります。それだけではなく、私たちのする行為、例えば、洗うこと、油を塗ること、パンを裂くこと、同じ杯から飲むことは、人間を聖化する神の働きの場、神に礼拝をささげる人間の表現の場となるのです。

教会の典礼は、神によって造られたものである被造物と私たち人間の文化の種々の要素を、イエス・キリストによる新しい創造という恵みの「しるし」として、統合、聖化するのです。


契約のしるし

旧約の神の民は、神と民との契約のしるしとして、割礼、王や祭司をその位に挙げるときに行う塗油と聖別、按手、いけにえ、過越祭などを行いました。これは、新約時代の私たちが行う秘跡の前表でした。


キリストが用いたしるし

キリストは、その公生活の間、麦の種や畑、灯などのしるしを用いて、神の国の神秘について教えてくださいました。また、キリストはエジプト脱出の出来事や、過越祭に新たな意味を与えられました。それは、イエス・キリストご自身が、これらの「しるし」の意味そのものであられたからです。


秘跡的しるし

教会の秘跡を通して与えられるしるしを、聖霊は聖なるものとしてくださいます。教会のすべての秘跡は、宇宙万物、人間生活のしるしと象徴を清め、聖なるものとし、統合します。さらに、新約の秘跡によって、旧約時代の予型、前表が表していたものが成就されるのです。

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