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 ぼのぼの

2002年8月

クモモの木のこと

ぼのぼの

  • 監督・脚本:クマガイコウキ
  • 原作・監修:いがらしみきお(『ぼのぼの』竹書房刊)
  • 脚本:いがらしみきお
  • 音楽:ゴンチチ
  • 声の出演:上村祐翔、吉田小南美、森本レオ、立川談志

2002年 日本映画 61分


  “ぼのぼのの木の森の、いちばん高い丘。
   そこに立つクモモの木には不思議な力があった。
   その木の下に座ると、
   悲しいことや苦しいことを忘れることができるのだ……。”

特冒頭のぼのぼののナレーションを聞きながら、倉本聡の「北の国から」を思い出しました。「北の国から」のナレーター純(吉岡秀隆)の、ボソボソとした語りと重なったのです。ゆっくりで、ちょっとさえない感じ……。しかし、「ぼのぼの」が“”癒し系コミック”と言われる通り、この映画には、なんともいえない温かいものがありました。そして、それが、今の日本人が忘れている、いちばん大切なもののような気がしました。

夏休みの子ども向けアニメですが、ぜひ、お子さまといっしょに、また、大人同士でご覧になってください。

物語

ぼのぼの

ぼのぼの(声:上村祐翔)が大切に飼っていたコゲトリ虫が、ある日いなくなってしまいました。シマリスくん(吉田小南美)も探してくれましたが、見つかりません。悲しい気持を癒すため、ぼのぼのは 丘の上のクモモの木に向かいました。クモモの木は不思議な木で、クモモの木の下に座ると 悲しいことを忘れることができるのでした。森の動物たちは、この木の下で悲しみや辛い心を癒すのでした。/p>

ぼのぼのは、このクモモの木の下に、ポポくんがたたずんでいるのを見つけました。ポポくんにはお母さんがいません。お父さんと二人で暮らしていますが、そのお父さんは乱暴者で、ポポくんはみんから仲間はずれにされ、いつも一人ぼっちでした。/p>

ぼのぼのが近づくと、ポポくんは離れて行ってしまいました。しかし、やさしいぼのぼのに、ポポくんも心を開くようになり友達になりました。友達のいないポポくんを心配しているポポくんのおばさんも、ぼのぼのが友達になってくれたことを喜んでくれました。/p>

ポポくんは親しくなったぼのぼのに、クモモの木の下に来る理由を話してくれました。「誰かがボクを迎えに来るんだ。お父さんがそう言ったんだ。きっとだれかがお前を迎えに来るって。だからボクは、毎日ここで待ってるんだ。」

ぼのぼの ぼのぼの

ある日、森の動物たちが大切にしている クモモの木の枝が折られるという事件が起こりました。毎日枝が折られるので、大人たちは見張りを立てることにしました。犯人は、ポポくんでした。大けがをしたおとうさんのためにクモモの木の枝を集め、お父さんの傷を治そうとしていたのです。しかし、ポポくんの看病のかいもなく、嵐の日、お父さんは亡くなってしまいました。そして、ポポくんの姿が見えなくなりました。

ぼのぼのは思いました。「ポポくんは、きっとクモモの木の下にいる。」

大雨の中、ぼのぼのが、クモモの丘にいるポポくんを見つけたとき、クモモの木に雷が落ちました。森のみんなが大切にしていたクモモの木はボーボーと燃え、火の粉があたり一面に飛び散ります。しかし、動物たちは、何もすることができません。と、そのとき不思議なことが起こったのです。

 

映画を見ながら思いました。ポポくんの隣にいようとしたぼのぼのは、イエスの姿ではないかと……。悲しみをわかってくれて、何も言わず、ただそばにいてくれる存在。説教やコメントはいらないのです。私たち人間は、そんな存在を求めているのではないでしょうか。知識や情報をたくさん持っていることが大切で、電子音が鳴り響き、ケータイを手放せない騒々しく忙しい現代社会の中で、黙って相手を思い、ジーッと一緒にいるという心のつながりが、軽視されているような気がします。

このアニメ映画では、ぬいぐるみの動物たちが動きます。トボトボと短い足で歩くぼのぼのやポポくん、シマリスくんたちがとってもかわいく、その毛並みがみごとです。音楽も、癒し系のゴンチチ。ストリー、映像、音楽を通して、ぼのぼのは私たちをも、温かい心で包んでくれます。

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