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 明日、陽はふたたび

2002年9 月

Domani

明日、陽はふたたび

  • 監督・脚本:フランチェスカ・アルキブジ
  • 音楽:バッティスタ・レーナ
  • 出演:マルコ・バリアーニ、オルネラ・ムーティ、
          パトリツィア・ピッチニーニ

2001年 イタリア映画 1時間46分

  • 2001年カンヌ映画祭正式出品作品
  • 2001年東京国際女性映画祭出品作品

1997年に、イタリアのアッシジで大きな地震がありました。アッシジは聖フランシスコで有名な美しい街ですが、大聖堂も壁が崩れたり大きな被害を受けました。アルキブジ監督は、この地震の被害にあった中学生の作文集を、女性教師から見せてもらい、家族や友人を失い悲しい思いでいながらも、明るく生きようとしている姿に感動しました。さらに、監督は、避難生活を送った人々から話を聞き、脚本を書きあげていきました。

物語

イタリア中部にある古都を、夜地震が襲います。家や学校は崩れ、街は立ち入り禁止となりました。町一番のサラミ工場も作業停止に追い込まれます。人々はテントやキャンピングカーの中での不自由な生活を強いられます。狭いところに、他の家族といっしょに住むという緊張した状況の中で、今までの生活では気づかなかったことが見えてきました。

映画は、キャンピングカーで寝泊まりする小学生のアゴスティーノの家族を中心に、避難生活の中で生きていく人々を描いていきます。

町長が入院しているため、副町長として住民の世話に飛び回るアゴスティーナの父親パオロ(マルコ・バリアーニ)。

同じキャンピングカーに住むようになった、ガン治療によって精神が混乱ぎみのモッチャ夫人とその息子ジョヴァンニ。

ジョバンニの相談に親身になる、アゴスティーナの母親のステファニア(オルネラ・ムーティ)。

親には反抗しているが、モッチャ夫人には優しい兄のフィリッポ。

アゴスティーノの同級生で、永遠の友情を誓い合っているティーナとヴァーレ。

教会の壁に描かれているフラ・アンジェリコの「受胎告知」の修復のためやってきた、イギリス人のアンドリュー。

自分はだれからも愛されないと思い悩んでいいる、アゴスティーノの先生ベティー(パトリツィア・ピッチニーニ)。

明日、陽はふたたび

仮設住宅ができ、少しづつ避難生活も落ち着いていきました。それにつれ、人々の関係も変化が起きていきます。そしてある日、大きな余震が……。

 

劇的な転換があるストーリーではありません。避難生活の中での日常のできごとが、ごくごく普通に描かれていきます。小さな町ですから、何をしても町の人が一斉に関わります。密接に暮らすことによって変化してくる関係性。地震という出来事をとおして、本当の姿が見えてきたといってもいいのかもしれません。

予期しないできごと、さらにそこから起きてくるさまざまなことを、人はどう受けとめていくのか……。アルキブジ監督は、映画の中で何回も出てくる「受胎告知」の絵をとおして、それを語っているようです。

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