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 ぷりてぃ・ウーマン

2003年6月

ぷりてぃ・ウーマン

  • 監督:渡邊孝好
  •   
  • 出演:淡路恵子、西田尚美、風見章子、草村礼子、
         イーデス・ハンソン、正司照枝、絵沢萠子、馬渕晴子
  •   
  • 音楽:佐橋俊彦

2002年 日本映画 111分


静岡県藤沢市に実在する、おばあちゃんたちの「劇団ほのお」をモデルにした映画です。ちょっと元気がよすぎるよね……と思うようなおばあちゃんたちが登場します。劇中劇が効果的で、映画の中で、おばあちゃんたちのステージを見ている観客と、映画を見ている私たちが一緒になって、ほろりと涙が出てしまいます。ここが、この作品の魅力なのかもしれません。

物語

町の集会所には、毎日、暇なおじいちゃん、おばあちゃんたちが集まってくる。日舞や絵画のサークル活動をしているグループもあるが、碁盤を囲んで一日を過ごしているおじいちゃんたちもいるし、これといったこともなく集まってきて、世間話をしているおばあちゃんたちのグループもある。一応、名前が付いている。「ともしび会」だ。メンバーは、プールに通っている活発なリーダー的存在の森下葵(淡路恵子)、お上品な室田梅子(風見章子)、車椅子の生活になった夫の世話をしている川部幾代(草村礼子)、スーパーをやっている茂森ジェーン(イーデス・ハンソン)、野菜農家の石倉琴江(正司照枝)、駄菓子屋の畑中小夜(絵沢萠子)、いつもエプロンをしている生駒頼子(馬渕晴子)だ。

「ともしび会」は、今日も、通信販売で買った品物を披露している琴江を囲んで、にぎやかだ。そこへ、市役所の福祉課の鮫島と木村がやってきた。市民サークルの日の発表会に、「ともしび会」も出し物をしてほしいというのだ。何もしないのは、「ともしび会」だけだという。「私たちに、いったい何ができるというの」と、葵たちは鮫島に毒づく。

そんなとき、葵の孫の加奈子(西田尚美)が、東京から帰ってきた。加奈子は、シナリオライターになりたいと言って家を出たが、力を入れて書いたシナリオがものにならず、自信を失い、シナリオライターをやめるつもりで戻ってきたのだ。しかし、そのことを、家族には、なかなか言い出せない。

何かあると見抜いた愛は、荷物の中から、シナリオ「夕空、晴れて」を見つける。そして、加奈子がシナリオライターへの道をあきらめ、家に帰ってきたのだと家族にバラしてしまう。

加奈子のシナリオを見た葵は、加奈子に、日当3000円で演出家として働かないかと持ちかける。そして仲間に、出し物は芝居にしようと提案する。最初は戸惑っていたメンバーたちも、葵の熱心な説得にやる気を出す。あみだくじで、配役も決まった。しかし、息子や娘、嫁、福祉課の人々などは、反対する。

おばあちゃんたちは、加奈子の指導を受けながら、シナリオの読み合わせをはじめる。しかし、なかなか、セリフを暗記することができない。芝居が楽しくなってきたころ、セリフを覚えることができないのは、シナリオが悪いからだと言い出すおばあちゃんたちに、加奈子は怒って飛び出してしまう。

「もうイヤダ!」と、福祉課に勤務している同級生とお酒を飲んだ帰り道、集会所に明かりがついているのを見る。消し忘れかと中に入ってみると、そこには、車椅子の夫を相手にセリフの練習をしている幾代がいた。幾代を励ます夫。二人の温かい光景を見た加奈子は、再びおばあちゃんたちのところに戻る。

近所の人たちも、「劇団ともしび」の練習を、大勢見にくるようになった。うわさも広まり、「楽しみにしているよ!」と声援をもらうようになった。上演まで後数日、練習も仕上げの段階になったとき、主役の梅子が倒れる。病院に運ばれた梅子は、メンバーが見守るなか、セリフのやりとりをする。最期に、「おもしろかったよ~、芝居」と満足そうな顔で息を引き取る。

梅子の死に、メンバーはみな落胆し、だれも、練習しようとしない。福祉課の鮫島は、再び同じことが起きないよう、メンバーの家族を集めて、上演中止の同意を求める。「年寄りは、静かにしていればいいのよ!」家族も、同意する。

芝居をもちかけた葵は、責任を感じ、梅子の息子夫婦を訪れて謝る。しかし、芝居をはじめてから、おばあちゃんは元気になったのだと、反対に感謝される。

おばあちゃんたちは梅子の最期の言葉を思い出す。「劇団ともしび」のメンバーは、福祉課を訪れ、上演させてくれと懇願する。そして、この上演が終わったら解散するという条件で、芝居は許可される。

当日、最初は緊張から失敗が目立ったが、観客は次第に、舞台の上の出来事にのめり込んでいく。そこにいるのは、自分の母であり、息子、娘、婿、嫁としての自分だったのだ。

 

とかく「年寄りは、おとなしく暮らしていればいいのよ」と思ってしまいがちです。しかし、人は、最後まで、その「生」を生き生きと保ちたいのです。それが、若い人々には、わからない。人として大切なものを、さりげなく教えてくれている映画です。

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