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 微笑みに出逢う街角

2005年3月

微笑みに出逢う街角

  • 監督・脚本:エドアルド・ポンティ
  • 出演:ソフィア・ローレン、ミラ・ソルヴィーノ、デボラ・アンガー
  • 音楽:ズビグニェフ・プレイネル

2002年 カナダ・イタリア映画 98分


大女優ソフィア・ローレンの100作目を記念する作品で、監督はソフィア・ローレンの息子です。

初老の女性の無表情の顔、女性カメラマンの不安そうな顔、他人を冷ややかに見るチェリストの能面のような顔。映画は、年代の違う3人の女性を追っていきます。彼女たちは、心に深い傷を負っています。心の重さを抱えて生きていた彼女たちが、人生を生き直すために歩き出します。いったい何が彼女たちを解放したのでしょう。自分の心に正直に生きるとはどういうことなのか。多くの女性たちに見ていただきたい映画です。

物語

初老のオリビアは、10代のころ過ちをおかして妊娠し、生まれた子の顔も見ずに引き離された過去を持ってます。夫には、そのことを話していません。パートで働きながら、足の不自由な夫の世話をする毎日で、日曜日に、公園で絵を描くことを唯一の楽しみにしています。ある日オリビアは、小さいときに別れた娘が、芸術家として活躍している姿をテレビで見ます。娘が出した写真集のサイン会が行われることを知ったオリビアは、着飾って、サインを待つ人の列に並びます。

微笑みに出逢う街角

フリーカメラマンのナタリアは、取材先のアンゴラから戻ったばかりです。彼女の父は、有名なフォト・ジャーナリスト。父を尊敬しているナタリアは、女性カメラマンとして生きようと決意し、アフリカに向かったのでした。アンゴラの戦場で撮影した写真が、母国アメリカの「TIME」の表紙に選ばれ、彼女は有名になりました。その写真は、襲撃されて家を焼かれた少女を写したものでした。しかしナタリアは、少女を助けずにシャッターを切ったことへの罪の呵責から逃れることができないでいました。さらに、その後少女がどうなったのか気にかかっていました。「TIME」の表紙に写真が載ったことから、有名な出版社への就職の話が進みます。しかし、ナタリアは心の苦しさのために、シャッターを切ることができず、カメラを持てなくなっています。

微笑みに出逢う街角

チェリストのキャサリンは、幼いとき、父が母を殺すところを見てしまいました。その父が22年の刑期を終え出所しました。しかし彼女は、母を殺した父を赦すことができずにいました。今、父の出所が彼女を支配して身動きが取れなくなっているのです。コンサートツアーが終わっても、夫と娘が待つ家に戻っていません。ツアー後の録音の仕事もうまくいきません。幼い娘からたびたびかかってくる電話に涙しながらも、父との関係が解決するまでは、家には戻れないのです。出所した父の後を追い続けるキャサリン。しかし、その父は、ある女性をかばって殺されてしまいます。

微笑みに出逢う街角

同じトロントの街で、解決しなければ先に進めない問題を抱えているオリビア、ナタリア、キャサリン。幸せに向かって、一歩を踏み出そうとした3人が、偶然、ある場所で出逢います。

 

人間だれでも、大なり小なり後ろめたさや心の傷を抱えているものです。暗い顔をして人生を送るのか、それとも、心のわだかまりから解放されて生きるのか。心の闇と戦い、解放へと歩み出そうとする女性の姿を、やさしく見つめる映画です。

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