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 コーラス

2005年4月

LES CHORISTES

コーラス

  • 製作:ジャック・ペラン
  • 監督・脚本・音楽:クリストフ・バラティエ
  • 出演:ジェラール・ジュニョ、ジャン=バティスト・モニエ、
         マクサンス・ペラン、ジャック・ペラン、フランソワ・ベルレアン
  • 音楽:ブリュノ・クーレ
  • 合唱:サン・マルク少年少女合唱団
  • 配給:日本ヘラルド映画

2004年 フランス映画 1時間37分

  • 文部科学省特別選定(少年向、青年向、家庭向)、文部科学省選定(成人向)

  • アカデミー賞外国語映画賞、主題歌賞ノミネート
  • ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ノミネート
  • セザール賞8部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、
           音楽賞、主題歌賞、新人監督賞、美術賞)ノミネート

物語は、世界的指揮者のピエール・モランジュ(ジャック・ペラン)が母の葬儀のために故郷にもどり、久しぶりに実家で過ごしているところへ、幼なじみのペピノが訪れてくるところからはじまる。ペピノは、なつかしい音楽の先生の日記をピエールに渡す。その先生は自分たちの生き方を変えた大切な人だった。二人は、少年時代を思い出していく。

1949年。フランスの片田舎に、「池の底」という少年たちの寄宿学校があった。親を亡くした子や、事情があって親と一緒に暮らすことができない子、また素行に問題がある子があずけられて集団生活をおこなっていた。先生や用務員は、少年たちの度をはずしたいたずらで、痛い目にあっていた。校長は、そのたびに「やられたら、やりかえせ」と、少年たちを反省室とよばれる牢獄のような部屋に閉じこめ、厳しい体罰を与えていた。

ある日、この寄宿学校に舎監の職を見つけた音楽教師のクレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)がやってきた。バスを降りたマチューが、門を入ろうとすると、そこに幼いペピノ(マクサンス・ペラン)が、じっと門の外を見つめて立っていた。「土曜日に迎えに行く」という両親のことばを信じ、ひたすら門の外を見つめ、両親が来るのを待っているのだった。

学校に入ったとたん、子どもたちのいたずらで大けがをした用務員に出会う。彼は、目の上を傷つけ血を流していた。マチューは、また、彼と入れ替わりに寄宿学校を去っていく教師と出会った。教師は子どもたちに気をつけるようにと告げ、寄宿学校から解放される喜びをあらわしていた。

最初の授業は、子どもたちをまとめることができず、校長の介入でやっと終えることができたような状態だった。子どもたちを信頼していない校長のことばや態度、それに対抗するかのような子どもたちの過激ないたずら。マチューは、子どもたちの暗い目を見て、なんとかしなくてはと思うようになる。同僚に胸のうちを話しても、相手にされなかった。

マチューが大切にしていた楽譜が、子どもたちによって盗まれる事件が起きる。しかしマチューは、彼らを叱らず、罰することもしなかった。子どもたちを信じること、それが子どもたちにとって大切なことだと思っていたのだ。マチューは、暗い目をして、いたずらにしか興味をしめさない子どもたちに、合唱をとおして自分のよさを引き出すこと、力を出し合って何かをなすことのすばらしさを体験させることができるのではないかと考えた。

コーラス

子どもたちは、歌をバカにするが、鼻歌を歌っているこどもを捕まえ、「君たちも歌えるじゃないか」と、オーディションをはじめる。クラスの一人ひとりに、知っている歌をうたわせ、ソプラノ、テノール、バス……とグループに分けていった。自分を認めてもらって、子どもたちはうれしくなる。マチューは、音程がとれない子にも、楽譜を持つという役を与えた。まだ幼くてうたえないペピノは、マチューのアシスタントの役をもらった。

子どもたちは次第に歌えるようになっていくと、コーラスがおもしろくなってきて、うたうことが楽しくなってきた。ある日、マチューは、だれもいなくなった教室から聞こえてくる美しいボーイソプラノを耳にする。それは、学校一番の問題児、ピエール・モランジュ(ジャン=バティスト・モニエ)だった。

コーラス

マチューは、コーラスによって子どもたちがどんどん変わっていくことに驚いていた。しかし、校長はまったく信じようとはせず、マチューの活動に否定的だった。

 

「チップス先生、さようなら」を思い出させる、先生と子どもたちの温かい交流を描いた心温まる作品で、荒れている少年たちが、コーラスをとおして、愛されていることを体験して心を一つにしていく姿は、現代の子どもたちのことを考えさせられます。

本国のフランスでは870万人を動員し、サントラ盤CDは売り上げ150万枚を突破したそうです。美しいボーイソプラノが、心にしみ渡ります。「リトル・ダンサー」のように、日本の人々にも愛される映画となりそうです。

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