home>シスターのお薦め>お薦めシネマ>母たちの村

お薦めシネマ

バックナンバー

 母たちの村

2006年6月

Moolaade

母たちの村

  • 監督・脚本・製作:ウスマン・センベーヌ
  •   
  • 音楽:ブンカナ・マイガ
  •   
  • 出演:ファトゥマタ・クリバリ、サリマタ・トラオレ、
          ドミニク・T ・ゼイダ
  • 配給:アルシネテラン

2004年 フランス・セネガル合作映画 124分

  • 第57回カンヌ国際映画祭 ある視部門グランプリ受賞作品
  • 2004年マケラッシュ国際映画祭 ゴールデン・スター賞ノミネート
                        特別審査員賞受賞
  • 2005年ロサンゼルス パン・アフリカン映画祭 審査員賞受賞
  • 2005年全米批評家協会賞 最優秀外国語映画賞受賞
  • 2004年ヨーロッパ映画賞 外国語映画賞 ノミネート
  • 2005年Chlotrudis Award 主演女優賞・作品賞ノミネート
  • 2005年イメージ・アワード インデペンデント 外国語映画賞 ノミネート
  • 2005年ポリティカルフィルム協会 PFS賞 ドキュメンタリー・人権カテゴリーノミネート

「アフリカ映画の父」と呼ばれる巨匠ウスマン・センベーヌ監督(83歳)は、3年の月日をかけて「母たちの村」を作成しました。「女性の割礼拒否」の事件から、いろいろな対立が表面化し、変化が生じてきます。「母たちの村」は、アフリカの女性たち自身による女性解放を描いた映画でもあり、伝統社会が外からの刺激を受け入れて新しい時代へと変わっていく瞬間を描いている映画とも言えます。

物語

西アフリカにある小さな村。ここは、一夫多妻のイスラム教の世界だ。男たちは広場の真ん中にあるハリネズミのような形のモスクに集まって礼拝し、女たちは、夫に従い、夫に守られて他の妻たちと共に生きている。一つの家の敷地内には妻の数だけ小さな家があり、妻たちは助け合いながら、ときにはいがみ合いながらそれぞれの子どもと暮らしている。モスクのある広場の木陰に、「兵隊さん」(ドミニク・T ・ゼイダ)と呼ばれている露天商がやってきて、荷物をたくさん積んだ自転車を止めた。彼はときどき村にやってきては、生活雑貨やパンを売っている。広場にいると、村の生活が見えてくる。

コレ(ファトゥマタ・クリバリ)は、夫の2番目の妻である。 兵隊さんがやってきた日、コレのところへ4人の少女が走り込んできて、「保護してほしい」としがみついた。割礼を受ける年齢になった6人の少女たちは、割礼の式のために集められたのだが、割礼をこばみ、4人はコレのところへ、他の2人は町へ逃げていった。

この村には、年ごろになった少女たちに、割礼を受ける習慣があった。割礼は、大人の女性になったしるしで、結婚できることを意味していた。コレも、他の女たちと同様に割礼を受けていたが、それが原因で2人の子どもを流産し、一人娘アムサトゥ(サリマタ・トラオレ)は帝王切開で生んだ。割礼は伝統として長い間守られていたが、女性にとっては苦痛であり、ときには生命に危険をもたらした。自分のような思いはさせたくないと考えていたコレは、娘アムサトゥには割礼を受けさせなかった。少女たちはそのことを知っていてコレのもとに逃げてきたのだ。しかし、割礼を受けない女性は「ビラコロ」と呼ばれて軽蔑され、結婚相手も見つけることができないとされていた。少女たちがコレのところに逃げたということは、村で大問題となった。

母たちの村

彼女たちを守る決心をしたコレは、門の入口にひもをかけた。これは「モーラーデ」と呼ばれるしるしで、“保護”を意味していた。ひもをかけた者が「止める」と言うまで保護は続き、だれもひもの中に入ることはできなかった。第一夫人も、第三夫人も「割礼は嫌いだ」と行って、コレを応援した。

コレの「モーラーデ」は、村を二分する大きな騒ぎとなっていった。この出来事によって、女性たちは結束して立ち上がり、村の男性たちに抵抗した。男たちは、このような考えは外から入ってきたのだと、女たちの唯一の楽しみであるラジオを没収し、広場に集めて火をつけた。

妻の行動は夫の責任だと、村の男たちはコレの夫にムチを渡し、コレを叱って「モーラーデ」を止めさせようとした。夫からムチ打たれるコレ。「モーラーデ」を解くことばを口にせず、歯をくいしばって夫に抵抗するコレを見て、村の女たちは応援する。

 

「女性の割礼」は、女性の服従のしるしでもありました。女性の性器切除術は、今もなお続いており、たくさんの女性たちを苦しめています。アフリカの興味深い生活、色鮮やかな女たちの衣装など、興味深い映画です。アフリカを知るための一つの作品です。センベーヌ監督が描いた「日常のヒロイズム」(日常生活の英雄行為)の第2作目の作品「母たちの村」を、ぜひご覧ください。

▲ページのトップへ