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 ユナイテッド93

2006年8月

united93

ユナイテッド93

  • 監督、脚本、製作:ポール・グリーングラス
  • 撮影監督:バリー・アクロイド
  • 編集:レア・ダグラス、クリストファー・ロウズ、リチャード・ピアソン
  • 音楽:ジョン・パウエル
  • 配給:UIP配給

2006年 アメリカ・イギリス映画 111分


今年は「9.11」に関する映画が、夏と秋に2本封切られます。ひとつは、「ワールド・トレード・センター」で、救助のために貿易センタービルに突入した消防隊の隊員たちのドラマです。もうひとつが、今回ご紹介する「ユナイテッド93」です。

あの日の朝、4機の民間旅客機が、テロリストたちによってハイジャックされました。

   7:59 ボストン発     ロサンゼルス行き   アメリカン航空11便   乗員乗客92人
   8:14 ボストン発     ロサンゼルス行き   ユナイテッド航空175便       65人
   8:30 ワシントン発    ロサンゼルス行き   アメリカン航空77便        64人
   8:42 ニューアーク発  サンフランシスコ行き ユナイテッド航空93便       44人

上の3機は、テロリストたちが目標とした世界貿易センタービル北棟、同じく南棟、国防総省ペンタゴン本庁舎につっこみましたが、4機目のユナイテッド93便は、乗客たちの決死の行動により、目的地にたどり着く手前の草地に墜落し、乗客乗員全員が死亡しました。

いったいユナイテッド93便の中で何が起きたのでしょう。彼らは、テロリストたちによってハイジャックされた後、座席に備え付けられている電話で家族と連絡をとりました。そのとき、世界貿易センタービルが民間旅客機に激突され、さらに、ペンタゴンにも飛行機が墜落したことを知ります。テロリストたちの反応を恐れながらも、乗客たちはひそかに互いの情報を交換しあい、このままでは、自分たちも、他の飛行機と同じようにテロリストたちの攻撃の道具として使われると察します。それをなんとか食い止めなくてはと、男性の乗客らが中心になってテロリストたちに挑みます。

ユナイテッド93

あのとき、ユナイテッド93の機内で何が起きたのか……。生存者が一人もいないので、それを知ることはできません。ポール・グリーングラス監督は、亡くなった40名の家族や友人、9.11委員会、航空管制官、軍関係者に、詳細にインタビューし、そこから、自分だったらどうするだろうかと考え、想像していきました。

地上でユナイテッド93に乗っている家族から電話を受けた遺族たちは、「私たちには、『二度とそれを見たくない』という気持ちがあります。しかし何が、どうして起きたのかを記憶にとどめておかなくてはならないのです」という思いから、この事件が忘れ去られないうちにと、映画の制作に同意しました。

テロリストたちが、ホテルの一室でジハード(聖戦)のために、祈り、身を清めて準備するところから映画は始まります。ユナイテッド93の動きと並行して、該当の空港管制塔、軍との関係が、描かれていきます。管制官たちのとまどい、責任者たちの判断、軍の決断などが描かれていきます。出演している人々は、乗客の年齢を重視して選び、一般的にはあまり知られていない俳優たちが演じています。また、実際のパイロットや乗務員経験者、管制官もおり、さらに幾人かは、本人自身が自分の役を演じています。

ユナイテッド93 ユナイテッド93

迫力と緊迫感のあるカメラワークで、まるで管制塔の中に、または旅客機の客室にいるかのように感じます。ユナイテッド93の乗客たちは、電話で家族との最後の言葉を交わし、自分がどれだけ家族を愛しているかを伝え、そして神に祈り、死を覚悟します。しかし、平和を脅かす者に対して、最後まであきらめることなく自分たちのできることをしました。

ユナイテッド93の乗客乗員たちがとった行動は、家族への愛と悪に対する勇気を教えてくれます。あのとき、地上の管制官たちは何を見たのか、ユナイテッド93の機内では何が起きたのか……。

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