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お薦めシネマ
トンマッコルへようこそ
2006年10月
Weicome to Dongmakgol
- 監督:パク・クァンヒョン
- 制作・脚本・原案:チャン・ジン
- 出演:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン
- 音楽:久石譲
- 配給:日活
2005年 韓国映画 132分
朝鮮半島が北と南に分かれて戦っていたときのお話です。
物語
南から北へ向かう山間に、「トンマッコル」という小さな村がありました。「子どものように純粋な村」という意味の名前をもつこの村には、争いがありません。村人たちは、助け合いながら畑を耕し、長老である村長が知恵と威厳をもって村人たちを導き、子どもたちは、村の知恵者であるキム先生のもとで学び、と大人たちから温かく見守られていました。村人たちは一緒に遊び、祭りを行い、自給自足の生活を営んでいました。笑顔の村人たちの生活には、争いとか競争、ねたみという言葉はありませんでした。
しかし、村の不思議な娘・ヨイル(カン・ヘジョン)が、村の外で見知らぬ人を見たころから、村の様子が変わってきます。ある日ヨイルは、草原に墜落した飛行機を見ました。谷ではリ・スファ(チョン・ジェヨン)たち3人と出会いました。ヨイルに導かれるように村に入ったリたちは、そこで、ビョ・ヒョンチョル(シン・ハギュン)らと出会います。今、戦争を行っている南の韓国軍と、彼らの敵である北の人民軍とが出会ってしまったのです。驚いた彼らは、戦いに疲れ、もはや戦う力が残っていないにもかかわらず、お客さんが増えて喜ぶ村人を真ん中にして、銃を向けることとなってしまいました。
村人を間にして銃を向け合う体制は、夜になっても続きました。夜が開けてきました。銃を持ちながらうつらうつらしている2組の兵士たちを横目に、村人たちは朝の仕事へと向かっていきました。
村には、すでにもう一人の客人がいました。墜落した飛行機に乗っていた連合軍のスミスです。彼は、一軒の家で、村人から傷の手当てを受けていたのでした。北の人民軍との戦いで傷を負った仲間たちを見捨てることができなかった人民軍のリ・スファ、逃げる人々が大勢渡っている橋を軍の命令で爆破してしまい、罪の重さに苦しんでいる韓国軍のビョ・ヒョンチョル、そして、偵察機を操縦していたスミス。彼らが持っていた手榴弾によって村の一年分の食料庫が吹き飛んでしまったことから、彼らは、村人たちの収穫を手伝うことにしました。敵同士である彼らと村人たちの、奇妙な生活がはじまりました。
しかし韓国軍は、南から北へ向かう途中に位置しているトンマッコル村を破壊する方向に進んでいるのでした。
兵士たちのどろどろした人間感情とはまったく違うトンマッコルの村人たちのやさしい心。こんな理想郷はあるのかしら……と思ってしまいましたが、村人たちの人を疑わない心を見ていくうちに、これは実現不可能な理想郷ではなく、人間がちょっと努力すれば実現するのだと思えるようになりました。トンマッコル村のように、人を信頼して生きていけたら、どんなにラクでしょう。人をねたみ、疑い、敵対する心は疲れます。トンマッコルの村人たちのように、人を思いやるレールに乗ってしまえばいいのです。
村人たちのやさしい心を表現するかのように、村人たちの衣装は淡い色でした。村人たちの笑顔と一緒に、村人たちの服装や、韓国映画にはじめて曲をつけたという久石譲の音楽もお楽しみください。
どうしたら平和な世界になれるのだろうか……。映画「トンマッコルへようこそ」は、平和について考えるためのすばらしい作品となりました。