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お薦めシネマ
チョムスキーとメディア
2007年2月
Manufacturing Consent :Noam Chomsky and the Media
- –マニュファクチャリング・コンセント–
- 製作・監督:ピーター・ウィントニック&マーク・アクバー
- 出演:ノーム・チョムスキー、ミシェル・フーコー(哲学者)、
ジョージ・H・W・ブッシュ(アメリカ合衆国第41代大統領)、
デビッド・バーサミアン(「オルタナティブ・ラジオ」設立者)、
ウィリアム・F・バックリー・ジュニア(保守派ジャーナリスト)、
ロベール・フォリソン(フランスの歴史修正主義者)、
カール・E・マイヤー(「ニューヨーク・タイムズ」紙論説委員)、
ジョゼ・ラモス=ホルタ(東ティモール国連大使〔当時〕)、他 - 配給:シグロ
2006年 カナダ映画 167分
- 1992年ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭・グランプリ、
国際批評家賞、国際記者賞、観客賞受賞 - 1992年シカゴ国際映画祭・ゴールド・ヒューゴー賞受賞
- 1992年トロント国際映画祭・審査員特別賞受賞
- 1992年バンクーバー国際映画祭・フェデックス賞受賞
- 1992年シドニー国際映画祭・観客の選ぶベストドキュメンタリー賞受賞
- 1992年ボンベイ国際映画祭・グランプリ、審査員賞受賞
- 他、多数受賞
“アメリカの良心”と呼ばれているノーム・チョムスキー。2002年度製作の映画「チョムスキー9.11」(ジャン・ユンカーマン監督 シグロ)で、すっかりチョムスキーファンになりました。そのチョムスキーの若いころからの講演、インタビューを集め、5年がかりで完成した長編ドキュメンタリーで、公開時には、カナダの劇場用ドキュメンタリー映画の興業収入の歴代第1位を記録した作品です。
テレビや新聞から、たくさんの情報を得ている私たちですが、果たしてそれがすべて真実を伝えているかと言えば、今の私たちは、そこにメディアゆえの偏りがあること、また、情報発信者側の編集があることを知っています。しかし、さらに、私たちに伝えられているニュース・情報は、もっと深刻なゆがみの中にありました。チョムスキーは、命の危険を顧みず、そのゆがみを鋭く突いていきます。その面から、この映画はメディア論として、すばらしい教材となるでしょう。
若き日のチョムスキー
チョムスキーをそこまで勇気ある者としたものは、何だったのでしょうか。それは、幼いころの強烈な体験から始まっています。そうです。この映画は、言語学者とならせた歩み、勇気ある批判者とならせた歴史が語られており、その面から、チョムスキーをチョムスキーならしめている歴史を詳しく知ることができます。
広く正確な知識と情報を持って、彼らと語り合っていきます。民主主義とは何か、自由とは何かを問い続け、それについて世界各地で多くの人々に語るだけではありません。チョムスキーは、若いころから、人々を苦しめる不正義が行われていることに対して、まだ、世界が目を向ける前から、反対運動を行い、みずから先頭にたって行動する人でした。その面から、正義のために戦う人の生き様を見ることができます。
インタビューに答えるチョムスキー(左)
命を懸けた仕事をしているにもかかわらず、厳しさを感じさせないゆったりとした雰囲気を与えるふところの大きさに、成熟している人間を見ます。その面から、人間の生き方を学ぶことができます。
さまざまな内容を含んでいるこの映画です。ちょっと長いですが、それを感じさせない息をのむような展開。ニュースの見方方が、社会の味方が変わることでしょう。
大切なのは、自分で考え、伝えること。大きな力に操作されているこの社会の中にあって、一人ひとりが判断する目を持つことが必要です。この映画をとおして、ぜひ、チョムスキーが自らの人生を懸けて守ってきた人間の生き方を受け取ってください。
■ノーム・チョムスキー
(NOAM CHOMSKY)
1928年、アメリカ・フィラデルフィア生まれ。両親は、ウクライナ、ベラルーシから移住してきたユダヤ人。ペンシルバニア大学卒業。マサチューセッツ工科大学教授。言語学者、思想家、活動家。
『Syntactic Structures 文法の構造』(1957年)で提唱した生成文法の理論は、いろいろな分野に大きな影響を与え「チョムスキー革命」と呼ばれた。ベトナム戦争から、政治運動にもかかわるようになり、アメリカの歩んでいる道を批判している。世界各地で講演している。