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 キトキト

2007年3月

キトキト

  • 監督・脚本:吉田康弘
  •   
  • 製作:李鳳宇
  •   
  • 音楽:増本直樹
  •   
  • 出演:大竹しのぶ、石田卓也、平山あや、井川比佐志、尾上寛之、
         伊藤歩、光石研
  • 配給:シネカノン

2006年 日本映画 109分


児童虐待などで、親子の絆が危うくなっているこの時代だからでしょうか、母親と息子の愛情を描いた「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が、書籍だけでなく、2時間ドラマ、連続ドラマ、そして映画となって話題になっています。そして今また、子どもを精一杯愛した母親のドラマが、大竹しのぶによって始まりました。

物語

児童虐待などで、親子の絆が危うくなっているこの時代だからでしょうか、母親と息子の愛情を描いた「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が、書籍だけでなく、2時間ドラマ、連続ドラマ、そして映画となって話題になっています。そして今また、子どもを精一杯愛した母親のドラマが、大竹しのぶによって始まりました。

「キトキト」とは、富山弁で「生きがいい」ということ。この小柄なかあちゃん(大竹しのぶ)は、夫を亡くした後、タクシーの運転手、保険外交員、たこ焼きやのおばさんなど、いろいろな仕事をしながら2人の子どもを育ててきました。バイタリティーあふれる元気な母ちゃんですが、子どもたちにとってはうるさい存在です。スケバンの姉ちゃんの美咲(平山あや)は、とび職の恋人と家を出てしまいました。弟の優介(石田卓也)は、若いエネルギーをもてあまし暴走族で暴れています。

ある事件で高校を退学となった優介は、親友の眞人(尾上寛之)と一緒に、何のあてもなく東京へ向かいます。寝るところもない東京で、2人はお金ほしさにホストクラブで働くことにします。

ホストクラブでのトップ争い、初指名してくれたに若い女性・藍(伊藤歩)との出会い、キャバクラで働く姉ちゃんとの再会、歳をとっても元気に生きているじいちゃん(井川比佐志)、母ちゃんの再婚相手(光石研)の存在……。故郷・富山から離れて暮らしながら、優介は次第に何かに気づいていきます。そして、母ちゃんという一人の人としての存在の大きさにも……。

「オレは、何をしたらいいか、分からんがや!」と叫び暴れた優介も、やがて、母ちゃんが伝えてくれたたった一つのこと、「人生、本当に大事なことは、自分が生きたあかしを残すこと!」「お母ちゃんの生きたあかしは、あんたらや!」ということばが分かる年齢になりました。

 

育った家や地域から飛び出したい若者と、エネルギーをもてあましてどうしていいか分からない若者たちをじっと見つめる母ちゃんや母ちゃんの再婚相手、そしてじいちゃんら、大人たち。一見ドタバタに見えるドラマの底辺に、しみじみとした人の思い・愛が流れていることを感じる作品です。

井筒和幸監督のもとで学んだ若い吉田康弘監督(1979年生まれ)の初めての監督作品は、家族の関わりの濃さ(愛の深さ)を描いてくれました。


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