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 終わりよければすべてよし

2007年5月

All's Well That ends Well

終わりよければすべてよし

  • 演出:羽田澄子
  • 製作・配給:株式会社自由工房

2006年 日本映画 129分

  • 第19回東京国際女性映画祭上映作品

自分の死をどう迎えるか、いかに死ぬか……。どの人にとっても、考えておかなくてはいけない大切な問題です。羽田澄子監督は、「“ターミナルケア”は、今早急に取り上げるべき問題だ」と、通常だったら映画作りに1年から2年かかるのですが、この「終わりよければすべてよし」は、たった5か月で作り上げたそうです。

映画では、ターミナルケアの、いろいろなケースが取り上げられています。

まずはじめは、1980年に佐藤智医師によって、日本で最初に発足した「ライフケアシステム」です。会員制で、月7,000円の会費を納入して運営されているシステムです。人生の終わりを自分の家で迎えたいという末期の患者さんが、24時間対応のシステムに守られています。家族に助けられながら暮らしてる患者さんたちの穏やかな笑顔が印象的でした。

「サンビレッジ新生苑」は、1976年に岐阜県池田町に設立された特別養護老人ホームです。オーストラリアの老人施設を訪問したりして、いろいろと研究し、先進的なケアを行っています。ターミナルケアに理解を示す若い医師が来たことによって、ターミナルケアが進みました。患者を中心としたスタッフの連携プレーがみごとです。

次は、「サンビレッジ新生苑」が学んだオーストラリア、バララット市の老人福祉が紹介されます。施設、病院、緩和ケアなど、医療と福祉が総合的な組織を作っています。その中心となるクイーンエリザベスセンター、緩和ケアセンター「ガンダーラ」が取材されていました。

福祉が進んでいるスウェーデンでは、今在宅医療に力が入れられているそうです。ストックホルムの自宅医療チームの活動が紹介されます。

最後は、栃木県で活躍している太田秀樹医師がはじめた「医療法人アスムス」です。15年前、太田医師がはじめたときは、経済的に成り立たなかったそうですが、今、やっと在宅ケアに取り組む医師を支援する法律ができ、人々の理解も深まって、24時間態勢のケアを行えるようになりました。太田医師は、診療所、老人保健施設、グループホーム、デイセンター、訪問ナース、訪問ヘルパー、居宅介護支援事業所など、次々と次行を立ち上げていきました。これから期待される日本の医療体制だと思います。

 

ああ、このように穏やかに自分の死を迎えられたら……、または、近くの人をこのようにお世話ができたら……と思いながら映画を見ました。「この作品をきっかけにして、いろいろなことを話し合ってもらえたらよいと思う」と羽田監督は語っていらっしゃいました。多くの人に見ていただき、自分の問題として話し合って、この映画がきっかけとなって、日本の医療、福祉がよりよい環境になったらと思います。

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