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 ふみ子の海

2007年10月

ふみ子の海

  • 監督:近藤明男
  • 原作:市川信夫
  • 出演:鈴木理子、高橋惠子、藤谷美紀、中村敦夫、水野久美、
        平田満、尾崎千瑛、遠野凪子
  • 配給:パンドラ、シネマディクト

006年 日本映画 105分

  • 厚生労働省推薦
  • 文部科学省選定(少年向き・青少年向き・成人向き・家庭向き)

昭和初期、貧しさゆえに視力を失った少女。そのころ、目の不自由な子どもは、生きていくために“ごぜ”になるかあんま師になるかしか道はありませんでした。その中で、自分を失うことなく明るくひたむきに生きた少女の物語です。自分を見失うことなく生きる少女の生き方は、周囲の大人たちを引きつけていきます。

大人でもつらい歩みを生きたふみ子のひたむきさに、映画を見ている者も引きつけられます。当時、ハンディーを負った子どもたちが生きていくことは、今以上に大変なことだったでしょう。ふみ子を演ずる鈴木理子ちゃんのキリリとした表情とまじめな生き方は、私たちに「生きる」ということにもっと真剣になってと呼びかけてきます。明るさと誠実さを抱いて生きていけば、心は平和を失うことはない……と。このような「生きることへの真剣さ」は、今の時代には欠けているように思います。ふみ子と出会う大人たちの姿から、人が触れ合い、助け合うことの心地よさを感じました。

物語

新潟の貧しい村で生まれたふみ子(鈴木理子)は、幼くして視力を失った。夫を亡くし、貧しさの中で盲目の娘をかかえてはもう生きていくことができないと思った母チヨ(藤谷美紀)は、死ぬつもりで冷たい日本海にやってきたが、キラキラ光る波を感じたふみ子がつぶやいた「海ってきれいだね」とふみ子の笑顔によって我に返る。そのとき砂浜で拾った小さな巻き貝は、その後辛くなったときにふみ子を助けてくれた。

ふみ子の海

8歳になったとき、盲学校の若い教師・高野りんが訪れ、点字があることと盲学校行きを勧めてくれた。本家(中村敦夫、水野久美)からの援助も得られず、なんとか盲学校に行かせようと働き続けた母が倒れた。盲学校行きをあきらめたふみ子は、あんまとして働こうと決心する。

行商人・古川(平田満)の紹介で、ふみ子は高田のあんま師・篠山タカ(高橋惠子)に弟子入りする。盲人として生きていくことの厳しさを知り尽くしているタカは、弟子たちを厳しく育てていた。まだ幼く小さな手をしているふみ子にもタカは手加減しなかった。タカの冷たい言葉にも、ふみ子は「はい、師匠」と精一杯応えていた。そんなふみ子を、先輩弟子のサダ(尾崎千瑛)は、いろいろと教え守ってくれた。

寒い冬の夜、サダたち弟子は、稼いでくるようにと外に出される。未熟なふみ子も笛を吹きながらも冷たい雪の道に出て行った。以前、危ないところを助けてくれた芸者の〆香(遠野凪子)や麩屋のおじさんたち大人に助けられて、サダは次第にあんまとして腕を上げていった。

ふみ子の海

ある日、高野先生と偶然出会ったふみ子は、タカに内緒で高野先生の家に通って点字を習いはじめる。やがて『ヘレン・ケラー』の伝記も読めるようになった。そんなとき、ヘレン・ケラーが日本にやってくるという話を聞いたふみ子は、高野先生とヘレン・ケラーに会いに行こうとする。

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