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 アメリカを売った男

2008年3月

BREACH

 

アメリカを売った男

  • 監督・脚本:ビリー・レイ
  • 出演:クリス・クーパー、ライアン・フィリップ、
       ローラ・リニー、カロリン・ダバーナ
  • 音楽:マイケル・ダナ
  • 配給:プレシディオ

2007年 アメリカ映画 110分

この映画は、チラシに“BASED ON A TRUE STORY”と大文字でしっかりと書かれているとおり、実話を描いた作品です。ロバート・ハンセンは、FBIの捜査官であるにもかかわらず、FBI、国防総省、国家安全保障局の情報を、ロシアのKGBに流していました。被害は金額にして10億ドルを超え、その情報の中にはFBIがKGBに送り込んだアメリカのスパイの名も含まれており、50人以上が殺されました。ロバート・ハンセンは2001年2月に逮捕され、現在、刑務所に服役中です。映画「アメリカを売った男」は、ロバートが逮捕されるまでの2か月を追ったものです。その裏切りの事実をつかむために、若い訓練捜査官がロバートの元へ送られました。20年間という長きにわたってのスパイは、冷戦時代と重なります。なぜ裏切るようになったのか、また、その裏切りがどのようにして暴かれていくのかを描いたサスペンスです。

物語

FBIの若い訓練生のエリック・オニール(ライアン・フィリップ)は、なんとか手柄を立てて捜査官になろうと野心を燃やしていました。そんな彼にある日、命令がくだされます。上司のバロウズ(ローラ・リニー)から、FBIでナンバーワンといわれている特別捜査官のロバート・ハンセン(クリス・クーパー)の元で、新しく創設される「情報保護部」で働くようにという指令を受けました。しかしそれは表向きの仕事で、その裏で本当の任務を言い渡されます。それは、「ロバート・ハンセンの行動をすべて報告するように」というものでした。

ロバートと共に働きはじめたエリックですが、不審な点は何もみつかりません。誠実な人柄で、熱心なクリスチャンのロバートは妻を愛しており、やがて彼女の影響で、エリックは妻ジュリアナとともに、家族ぐるみのつきあいをするようになります。

一体ロバートは何をしたのだろうか……。自分の任務に疑問を抱くエリックは、バロウズを問い詰めます。バロウズは彼を、特別操作のために集まった大勢の捜査員が働く部屋に連れていきます。FBIの情報がKGBに流れているらしいという疑問は、FBIがKGBに送ったスパイが、次々殺されていくことからわかってきました。ロバートは、20年来、ロシア圏に米国の国家秘密を漏らしていたのです。

昇進のチャンスと思っていたロバートのもとでの仕事は、エリックの中で苦しみへと変わっていきました。仕事中心で家庭を顧みなくなり、暗くなっていくエリックに何が起きているのかと心配するジュリアに、エリックは本当のことを言えず、二人の関係は危うくなっていきます。

入手した情報をどこに隠しているのか、それをどうやってKGBに渡すのか……。エリックはロバートと一緒に働きながら、その証拠をつかむために動きはじめます。しかし、ベテラン捜査官のロバートが、エリックの行動に不審を抱かないはずはありませんでした。

 

ロバートの逮捕後、FBIを辞めたエリック・オニール自身が、特別顧問としてこの映画製作に関わりました。

実際、この事件の捜査のために、FBIの500人以上がチームで捜査に関わったそうです。優秀なFBI捜査官であり、妻を愛し、信仰にも生きるすばらしい人物ロバート。しかし、その同じ人が、仲間を、国を、長い間裏切り続けていた事実をとおして、自分の中の真実を生きるということ、また、人を信じることの難しさを考えさせられるます。


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