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 中華学校の子どもたち

2008年12月

中華学校の子どもたち

  • 監督:片岡希
  • 音楽:加藤千晶
  • 配給:ブロードメディア・スタジオ

2008年 日本映画 107分

 

横浜山手中華学校は1859年の横浜開港後、通訳や下働きとして働いていた中国人たちのための学校として、1898年に創立された110年の歴史を持っている学校です。自分たちの国の文化を伝承するために、4歳児から15歳まで11学年の生徒が学んでいます。日本の文化の中で生活している中国人の子どもたちは、いったいどのような毎日を送っているのでしょうか、カメラは彼らの生活を追いました。

中国の祭り、蛇踊りのときに使う蛇が教室にやってきました。蛇踊りの太鼓が鳴り響くと、子どもたちの体はウキウキと動き出します。中国人としてのDNAが騒ぎ出すようです。「中国にいない分だけ、中国を感じよう!」教える先生たちもこの学校の出身者が多く、自分たちの体験から、子どもたちに伝えていきたいものをはっきりとさせています。

中華学校の子どもたち

歴史の中で、本国の政権の移り変わりに伴い、横浜山手中華学校の上にもいろいろな変化が押し寄せてきました。本国で共産党が政権を取ると、突然警察隊が学校に入ってきて「赤狩り」をしていったときもありました。大陸への反抗から起きた「学校事件」(1952年)によって学校が閉鎖になったこともありました。しかし学校を続けてほしいと願う保護者が自宅の部屋を提供して学校を始めました。その後、横浜の山手町に臨時校舎が建てられ、「あくまで臨時」と思っていたここが校舎となりました。1966年学校法人として認可され、1998年に創立100年を祝いました。

授業の中で、子どもたちは自分たちの街を知るために、中華街に出て行きました。グループに分かれて、中華街に住んでいる子の家を訪問し、親から教わりたいものを質問します。メモを取ったり、デジカメで写真を撮ったりしていきます。彼らの家の多くが飲食店を営んでいます。子どもたちは「カレーの作り方を教えてください!」などと無邪気な質問をして、仕事をしている親の姿に接していきます。

中華学校の子どもたち

子どもたちが街を通っていくと、いろいろな人から声がかかります。彼らが地域の人々に愛され、育っていることが分かります。媽祖廟では、おじいちゃんから歴史を聞きました。親にインタビューするのは、きっとはじめてのことだったでしょう。仕事をしている親から、家では聞いたことのない話も出てきました。そんなはじめての体験に触れて発する子どもたちのなにげないことばを、カメラは拾っていきます。

この授業をとおして、親と距離を置いて向き合った彼らは、ちょっぴり大人になった感じがします。

この映画の試写を見た後、偶然、中華街を訪れる機会がありました。活気のある街です。日本にいながらも大陸の影響を受け、また、住んでいる日本の影響を受けながら大人になっていく子どもたち。将来、二つの国に関係していることが、大きなプラスとなりますように。

 

 

 

中華学校の子どもたち
中華街

 
中華学校の子どもたち 中華学校の子どもたち
媽祖廟楼門 媽祖廟

マンション建設を阻止するために中華街の人々が土地を買い、2006年3月にできた横浜媽祖廟(天后宮)。この前で、子どもたちはおじいちゃんに集合写真を撮ってもらった。

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