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 サガン ─悲しみよ こんにちは─

2009年5月

SAGAN

サガン

  • 監督:ディアーヌ・キュリス
  • 脚本:ディアーヌ・キュリス、マルティンヌ・モリコリ、
       クレール・ルマレシャル
  • 出演:シルヴィ・テステュー、リヨネル・アベランスキ、
       ピエール・パルマード、アルゴ・アバスカル、
       ジャンヌ・バリバール
  • 音楽:アルマンド・アマール
  • 配給:ショウゲート

2007年 イラン=フランス合作映画 1時間21分

 

大人への入り口である思春期に、多くの女性が手にした本の一冊が、フランソワーズ・サガンの『悲しみよ、こんにちは』ではないでしょうか? 映画「サガン」は、愛を求めながらも、孤独から逃れることができなかったサガンが、1954年に作家としてデビューしてから2004年に亡くなるまでの、愛と分かれの人生を描いた作品です。

シルヴィ・テステューは、きゃしゃで壊れそうなサガンを愛情深くそして、激しく演じています。昨年、日本で公開された「エディット・ピアフ 愛の賛歌」では、ピアフの親友シモーヌを演じていますが、同じ人とは思えないほどです。

 

物語

18歳の少女が、友達に見栄を張ってひと夏で書き上げた200ページ足らずの小説『悲しみよ こんにちは』で批評家賞を受賞した。フランソワーズ・サガンのペンネームで出版された本は、保守的な大人たちからは「小娘が!」とさんざんな評価だったが、若者たちの間でたちまちベストセラーとなり、世界各国で翻訳された。サガンの手には、名声と巨額の富がころがりこんできた。

彼女の周りには、作家のベルナール・フランク(リヨネル・アベランスキ)とダンサーのジャック(ピエール・パルマード)、そして、学生時代からの親友フランス・マルロー(アルゴ・アバスカル)がいつもいて、夜ごとに飲んでは騒いでいた。さらにサガンは、衝動的にしたルーレットで800万フラン(当時で約6億円)をもうけ、別荘を衝動買いしてしまった。

サガン
(C)2008 ALEXANDRE FILMS

次作『ある微笑』もベストセラーになったが、一方で批判された。しかしサガンの人気は高まっていった。別荘で3作目を書いているときに、兄に酷評されて傷ついたサガンは、車の運転でスピードを出し過ぎて事故を起こし、危険な状態になるが、奇跡的に回復する。しかし、このときの治療で使ったモルヒネが、その後の彼女をしばっていった。

最初の結婚に失敗し、その後に書かれた『ブラームスはお好き』で、読者はその作品に離婚が反映しているかどうかに興味を持った。世間の批判を、は友人と遊び、また書くことに没頭することで忘れようとした。

サガン

妊娠して結婚するが、それも長くは続かなかった。愛を失って孤独なサガンは、古い友達のペギー(ジャンヌ・バリバール)と再会し、一緒に暮らしはじめる。しかし、サガンを取り巻く人々との派手な生活は膨大な出費となり、税金が払えなくなってサガンは破産してしまう。競馬でもうけようとするが長続きせず、お金のために意にそわない仕事をしなくてはならないはめになる。

サガン

そんなサガンを、次々と不幸がおそった。

 

サルトル、カポーティ、ピカソ、カトリーヌ・ドヌーブ、ミッテラン元大統領など、著名人から愛されたサガンの華麗なる人生。しかし、果たしてサガンは幸せだったのか……。

富、名声、友情、恋愛、結婚、出産、離婚、自由、孤独、病気、分かれ、酒、薬……、自信満々の影におびえている自分がいて、信頼できる人々に囲まれていながら孤独だったサガン……、『悲しみよ、こんにちは』と同じように、危うい生き方をしたサガンの人生に、悩む人は自分の人生を重ねることができました。悩みながらも自己の自由をかざして生きていく、それが、現代も読み継がれているサガンの魅力なのかもしれません。


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