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お薦めシネマ
ぼくとママの黄色い自転車
2009年8月
- 監督:河野圭太
- 脚本:今井雅子
- 原作:新堂冬樹『僕の行く道』双葉文庫/双葉社
- 音楽:渡辺俊幸
- 出演:武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、西田尚美、柄本明、
安部未央、梅原真子 - 配給:ティ・ジョイ
2009年 日本映画 95分
- 芸術文化振興基金
- 文部科学省選定(少年向・家庭向)
大人顔負けの演技でおなじみの武井証が、長いこと会うことができなかった母親を尋ねて、子犬と自転車で旅をするロードムービーです。愛情深い父親役で登場する阿部サダヲさんの、お笑いとは違う姿に驚きました。やさしい目が印象的でした。
物語
小学3年生の大志(武井証)は、設計事務所を開いている父(阿部サダヲ)と二人で暮らしている。大志の母親(鈴木京香)はパリでデザインの勉強をしていて、毎週大志にハガキを送ってくる。大志はハガキをとおして、母を近くに感じていた。学校から帰って開けた郵便ポストに、待っていた母からのハガキが入っていた。
「大志、元気にしていますか。ママは……」読み終わると、大志は箱を取り出し、その中にハガキを入れた。箱の中には今までに来た母からのハガキが詰まっていた。
しかしあるとき、大志はそのハガキが、かつて母と母の妹の里美(西田尚美)がパリに行ったときの写真ではないかと疑問を持つ。確かめようと父の事務所に入った大志は、一通の封書を見つける。その中には、母が撮影したというたくさんの写真が入っていた。差出人は山岡静子、消印は香川県の小豆島だった。母はパリにはいないようだ。なぜ、父はうそをついているのだろう。山岡静子という人はだれだろう。思い切って父に尋ねてみたが、父はことばをそらすだけだった。
夏休みに入るのを待って、大志は母が誕生日に勝手くれたお気に入りの黄色い自転車に乗り、子犬のアンと一緒に小豆島に行くという計画を実行に移した。里美の娘の美緒(安部未央)に協力してもらい、ボーイスカウトのキャンプに参加するとうそを言って、家を出る。小豆島まで500kmの旅が始まった。
(C)2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会
だまってトラックの荷台に乗り込んだり、大阪では由美(梅原真子)という元気な女の子の家に泊めてもらったり、一人暮らしのおじいちゃん(柄本明)に助けてもらったり……。大志は、母に会ったら押し花のプレゼントを渡そうと、母の大好きな黄色い花を探しながら小豆島を目指す。
しかし母は、大志の顔が分からない状態になっていた。彼女は大志を愛するがゆえに、まだ小さい大志の前から姿を消すことを選んだのだ。母は、なぜ小豆島に来たのだろうか。大志はまだ知らなかった。
(C)2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会
だんだん息子のことが分からなくなっていくという恐怖の中で、息子を愛するがゆえに息子から離れるという道を選んだ母の苦悩と、妻の選びを受け入れ、温かく見守りながら、息子に対しての偽りを一人で貫く父。人間のやさしさをじっくりと感じてください。
(C)2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会