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 キャピタリズム -マネーは踊る-

2009年12月

CAPITALISM :A Love Story

泣きながら生きて

  • 監督:マイケル・ムーア
  • 製作:アン・ムーア
  • 音楽:ジェフ・ギブス
  • 配給:ショーゲート

2009年 アメリカ映画 127分

 

『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』で、アメリカの問題を鋭く指摘した作品を送り出してきたマイケル・ムーア監督が、昨年のリーマンショックで始まった世界恐慌の波をもろにかぶり、職を切られ、家を追い出される人々と、多くの人を解雇しても生き延びていく巨大企業家たちとを追いながら、キャピタリズム(資本主義)の矛盾を突いていきます。相変わらずの突撃取材とこきみよい映像の展開は、見る者の心を引きつけて離しません。

ある家の前に保安官たちがやってきます。家に閉じこもっている家族。しかし、保安官たちの力尽くの行使で、その家は差し押さえられ、住人は追い出されてトラック生活へと追いやられます。国民のお金・税金で救われる企業と、家を追われ、職を着られる、食事も満足にできないほどになる貧しい人々。資本主義は貧富の差を助長するためにあるのでしょうか?

キャピタリズム

しかし、あるとこまでいくと風向きが変わります。大きな圧力に負けていた人々が行動を起こしたのです。工場を解雇された人々は自分たちの仕事を確保するために工場に入って立てこもります。カトリック教会の司祭たちもやってきて、彼らを力づけミサをささげます。家を追われた家族たちも、トラックから出てローンを払っていいた自分たちの家に戻ります。地域の人々も集まってきて彼らを支持したので、駆けつけた保安官も彼らの勢いに太刀打ちできず、彼らの訴えに理解を示す側になります。

さらにそこへ、追い風が吹きます。オバマ旋風です。人々の勢いが、オバマを大統領にするための勢いと重なり、大きなうねりとなります。

ムーア監督は、ドルマークのついた袋を手に、ウォール街へと向かいます。ニューヨークの証券取引場のビルを、警察が使うような立ち入り禁止の黄色いテープで取り囲みます。ニュースや報道番組ではわからなかったアメリカの人々の現実が描かれていきます。2時間があっという間に過ぎていき、ムーア監督に、もっともっと現実を見せてほしいと思いってしまいます。

エンディングの曲がすてきです。マタイ25章のイエスの姿をうたった歌に、ムーア監督の信仰が垣間見えました。もう一度、じっくりと見たい映画です。


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