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お薦めシネマ
ブルー・ゴールド 狙われた水の真実
2010年1月
BLUE GOLD : WORLD WATER WARS
- 監督:サム・ボッゾ
- 原作:モード・バーロウ、トニー・クラーク著『「水」戦争の世紀』(集英社新書)
- ナレーション:マルコム・マクダウェル
- 出演:モード・バーロウ、ヴァンダナ・シヴァ、
ミハル・クラフチーク、ウェノナ・ホータ、他 - 配給:アップリンク
2008年 アメリカ映画 90分
八ツ場ダムについて政府と住民との話し合いが始まりました。ダムはほんとうに必要なのでしょうか? 自然界から見れば、ダムは、水の源泉から海へと流れていく川の流れを途中で寸断してしまいます。以前テレビで、マスの生態を追った番組を見ました。サケとおなじようにマスも産卵の時期になると、自分が生まれた川の源に向かって旅を始めます。母川回帰(ぼせんかいき)というそうです。マスはひたすら川を上っていきます。上流になって堰(せき)があっても、高くジャンプして上っていきます。しかし、途中でダムがあると、旅はそこで途絶えてしまいます。
マスが産卵する場所である源泉にたどり着くと、旅の疲れを癒やす間もなく産卵をします。川を上ってきたマスの体は傷つき表面はボロボロになっています。産卵を終えた源には、あちこちに死んだマスが横たわっています。やがてその体は崩れ、今度は栄養素となって小さな魚がそれを食べ生命を受け継いでいきます。しかし、ダムによってマスが帰ってこなくなった源は、栄養が乏しくなり生態系も変化していきます。もはやその川の水は、豊かな生命をはぐくむことができなくなります。日本には、たくさんのダムがあります。人間はダムによる恩恵にあずかってきました。しかし一方で、地球環境の営みを狂わせてきたのです。大自然の中では、いろいろな生物が循環をして、互いの生命を維持しているのです。
映画「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」では、ダムの問題だけでなく、水にかかわるいろいろな問題を取り上げていきます。
人間は、水なしには生きていけません。水は人類の共有財産です。水の循環が崩れると、生物全体の生命維持に影響を与えます。都会のアスファルト化により、水は土の表面を走り、地下に浸透しなくなりました。
地球温暖化の問題としてCO2が取り扱われていますが、水も大切な要素です。水の確保は国家の存続にかかわる大きな問題です。水の利権を求めて水戦争をしている国家間の争いがあり、ここからウォーター・ビジネスも展開していきます。
カナダの社会活動家モード・バーロウ、環境活動家であり作家であるインドのヴァンダナ・シヴァ、スロヴァキアの科学者でNGO組織の創設者でもあるミハル・クラフチーク、NGO「食と水の監視」会長ウェノナ・ホータなど、世界各国で環境問題のために活動し、危険信号を発している活動家の証言は、水にまつわるさまざまな視点をわたしたちに教え、水をもっと見つめるようにと迫ります。