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 ゲゲゲの女房

2010年11月

ゲゲゲの女房

  • 監督・共同脚本:鈴木卓爾
  • 脚本:大石三知子
  • 原作:武良布枝(『ゲゲゲの女房』実業之日本社刊)
  • 出演:吹石一恵、宮藤官九郎、南果歩、坂井真紀、柄本佑
  • 配給:ファントム・フィルム
 

2010年 日本映画 119分



向井理さんと松下奈緒さんの夫婦が大好評だったNHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が、映画になりました。映画では、「クドカン」で有名な脚本家・宮藤官九郎が水木しげるさんを、お嬢様の雰囲気のある吹石一恵が、妻の布枝さんを演じ、ドラマとはまた違った夫婦の姿をしめしています。ひょうきんなクドカンが、どのような水木しげるを演じるのでしょうか?

 

物語

出雲の酒屋の娘で家業を手伝っていた布枝(吹石一恵)は、周囲の勧めもあって、武良茂(宮藤官九郎)とお見合いをする。出会ってからわずか5日で結婚し、茂の住んでいる東京へと向かう。東京に住んでいる姉(坂井真紀)がついてきてくれたが、茂の家を見て心配しながら帰っていった。

布枝が来ても、漫画を描き続けている茂。食事の準備をしようと台所の米びつを開けるが、そこには数粒の米があるだけだった。「貧乏は気になりません。命までは取られませんから……」という茂。布枝の貧乏くらしが始まった。

今日は、原稿料が入るかと期待していても、半分ももらえない。茂が漫画を書いている貸本の人気がなくなっているのだった。布枝も質屋に通うようになる。貧しいことにひょうひょうとしている茂との生活に、ただ呆然として毎日を過ごしてた布枝だったが、ある日、茂の代わりに出版社に原稿を届けにいき、約束の原稿料を払ってくれない社長の態度に、怒りを感じた。「茂さんが、あんなに一所懸命仕事をしていているのに報われないなんて……」いつしか布枝は、茂を理解するようになっていった。

 

 

映画では、貧困のどん底を味わった後、かすかな光が見えるまでが描かれています。また、画面の何気ないところに、いろいろな妖怪が出てきます。水木しげるさんのお母さん(南果歩)も、茂のことを思うあまり、お母さんの意志が布枝さんのところに飛んで言って見える形になったのかなとも思えます。こういう画面の作り方によって、水木しげるが、いかに妖怪の世界に近かったのかが想像できます。

今だったら、即離婚となるような結婚生活です。しかし、当時の人は、結婚してから相手を受け入れ、尊敬するようになっていったのでしょうか? 茂の優しさと志を知るようになります。漫画を書き続ける夫の思いに寄り添うようになっていく布枝の心の変化が、印象的です。クドカン&吹石さんのカップルは、言葉が少なくても信頼しあっている、なんとも微笑ましい夫婦を演じています。


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