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 クレアモントホテル

2010年11月

The Claremont

クレアモントホテル

  • 監督:ダン・アイアランド
  • 脚本:ルース・サックス
  • 原作:エリザベス・テイラー『クレアモントホテル』
  • 音楽:スティーヴン・バートン
  • 出演:ジョーン・プロウライト、ルパート・フレンド、
        アンナ・マッセイ、ロバート・ラング
  • 配給:クレストインターナショナル
 

2005年 アメリカ・イギリス映画 108分



子どもたちも自立し、夫も亡くなり、だれにも邪魔されずに残りの人生を自分なりに歩みたいと思った高齢の女性が、孫のように若い青年との出会いをとおして、人生の豊かさを味わうという人生賛歌の映画です。上質な映画の味わいです。

 

物語

ロンドンの片隅にある古いホテルの前で、高齢の女性がタクシーから降りた。夫と死別し、残りの人生を自立して歩みたいと願ったパンフリー夫人(ジョーン・プロウライト)は、ホテルで長期滞在しようと、自分で探してやってきたホテルだった。しかし、選択を間違えたようだ。ホテルは古く部屋は狭く、窓からの景色も悪い。ボーイやウエイトレスの教育もなっていず、期待外れのホテルだった。さらに、ホテルにはちょっと変わった人たちが滞在していた。

夕食の時間になり、ディナーのために正装をして食堂に行ったが、正装は場違いだった。そこには、彼女とおなじように長期滞在の男女の客が、それぞれ一人で食事をしていた。

これまで、だれかの娘で、だれかの妻で、だれかの母だった。しかし、残りの人生を「わたし」として生きたいと思っていた。自由になりたいと思って家を離れたバンフリー夫人だったが、彼らの視線が夫人に集まった。

クレアモントホテル

ある日、町に出たバンフリー夫人はつまずいたて転んだところを、ルードヴィック・メイヤー(ルパート・フレンド)という青年に助けられ、彼の部屋で介抱さる。孫と同じ26歳というルードは、小説家志望で貧しい生活をしていた。

退屈な毎日を過ごしている長期滞在者にとって、訪問客や電話があることは興味のあるところだった。バンフリー夫人が話している自慢の孫がいつ尋ねてくるのかとみな期待していたが、孫と連絡がとれない夫人は肩身が狭くなっていた。

ある日バンフリー夫人は、親切をしてもらったお礼にとルードをホテルに招き食事をする。宿泊客らは、いよいよ孫が尋ねてくると勘違いし、訪問を期待する。長期滞在者たちにも優しくハンサムなルードに、パンフリー夫人は鼻を高くする。

宿泊客たちは、ルードを娘の婿候補にしたいとか、自分の劇団の役者にスカウトしたいとか言い出す。ルードは、孫のふりをしてくれることになり、バンフリー夫人とルードはしばしば合うようになり、次第に心の奥を語り合うようになる。しかしある日、ホテルに本物の孫が尋ねてくる。バンフリー夫人はあわてて追い返し、あれは会計士だとウソを言う。

バンフリー夫人とルード、バンフリー夫人とホテルの長期滞在者たちの間には、次第に家族以上のつながりができていった。

 

 

家族には言えない本心を、他者に聞いてもらうことによって、救われることがあります。パンフリー夫人を中心に描かれている人のかかわり、親子のかかわりをとおして、受け入れ合っていくとはどういうことかが、静かに語られています。バンフリー夫人役のジョーン・プロウライトの上品さがすてきです。見終わった後、幸せな気持ちになるあたたかな作品です。


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