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お薦めシネマ
がんばっぺ フラガール!
~フクシマに生きる。彼女たちのいま~
2011年10月
- 監督:小林正樹
- 音楽:ジェイク・シマブクロ
- ナレーション: 蒼井優
- 出演:スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム
- 配給:アスミック・エース、ジェイ・シネカノン
2011年 日本映画 100分
1966年、エネルギーが石炭から石油に移行する中で、炭鉱の町いわき市では鉱山が閉山に追い込まれる危機に陥りました。炭鉱の人々は町興しのため、リゾートセンター「常磐ハワイアンセンター」を開設し、炭鉱夫の娘たちはフラガールとなって、町興しに協力しました。2006年に公開された李相日監督の映画「フラガール」は、この実話に基づく物語でした。映画は、口コミで評判が広がって大ヒットとなり、第30回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞を受け、その他数々の映画祭で受賞しました。その後、フラダンスの現地であるハワイでも上映されるほど話題となりました。常磐ハワイアンセンターは、その後「スパリゾートハワイアンズ」と名を変え、ホテル、大型温水プール、温泉、ゴルフ場を備える一大レジャー施設として、寒い地方の中の楽園として、多くの人々を迎えてきました。
しかし、3月11日に起きた地震は、この施設にも大打撃害を与えました。建物の崩壊のすごさに、責任者たちは「もうダメだ! 立ち上がることができない!」と嘆きました。フラガールも同じでした。彼女たちが毎日ショーを行っていた舞台も使えなくなり、彼女たちは踊る場を失いました。施設は再開することができるのか、まったくわかりませんでした。
そんなとき、彼女たちは、46年前の常磐ハワイアンセンターを始めたときのことを思い出しました。初代のフラガールたちは常磐ハワイアンセンターを全国に知らせるため、キャラバンを組んで日本各地を巡回したのでした。フラガールたちは初心に戻り、「全国きずなキャラバン」と名付けて日本中を回ることにしたのです。彼女たちの笑顔と踊りで、日本中の人々を元気づけよう、被災して避難している人々に希望を与えよう、また、福島を忘れないでほしいという思いを込めて、全国125カ所を訪れました。
(C) 製作:ジェイ・シネカノン/「がんばっぺ フラガール!」製作委員
(C) 製作:ジェイ・シネカノン/「がんばっぺ フラガール!」製作委員
一方、いわき市のスパリゾートハワイアンズでは、かつて地元の再生のために働いたように、福島第一原発の事故で避難を強いられ苦しんでいる町の人々を助けるため、ホテルを開放しました。洗濯機もなく、干す場所もないという、生活のためには不自由なホテル暮らしですが、スタッフたちは避難住民が快適に暮らせるように心を込めてお世話をしました。一方で、崩れた施設の再建工事がはじまり、一日も早い営業再開を目指しました。クレーン車などの工事の音は、スタッフたちを元気づけました。
(C) 製作:ジェイ・シネカノン/「がんばっぺ フラガール!」製作委員
映画はフラガールやスタッフたちの再建への歩みを追いながら、双葉町出身者であるフラガール副リーダー大森梨江さんの生活も紹介していきます。彼女の部屋からは福島第一原発の煙突が見えます。防護服に身を包んで行われた一時帰宅に同伴しながら、原発や風評被害に苦しむ地域の人々の思いを語っていきます。
ナレーターは、映画「フラガール」でフラガールのリーダーを演じた蒼井優、ジェイク・シマブクロが再び音楽を担当しています。
震災から7か月後の10月1日、彼らの願いが実って、スパリゾートハワイアンズは、一部ですがオープンすることができました。ホテルの予約の電話が鳴り続け、入口には再会を待っていた人々の長い列ができました。そして仮の舞台ですが、フラダンスのステージの前にも、多くのお客さんが集まりました。
「フラガール! Go~~~!」フラガールたちの元気なかけ声が響き、バンドの演奏が始まりました。彼女たちの待ちに待ったフラが始まりました。
人々の涙、涙。再生に向かって人々の思いが一つになり、元気と希望があふれる感動のドキュメンタリーです。