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 ユナイテッド —ミュンヘンの悲劇—

2012年 7月

UNITED

ユナイテッド

  • 監督:ジェームズ・ストロング
  • 脚本:クリス・チブナル
  • 音楽:クリント・マンセル
  • 出演:デヴィッド・テナント、ダグレイ・スコット、
        ジャック・オコンネル
  • 配給:ゴー・シネマ

2011年 フランス映画 2時間13分


「赤い悪魔(Red Devils)」と恐れられているイギリスの名門サッカーチーム“マンチェスター・ユナイテッド”。このたび香川真司選手が移籍したことで話題になっていますが、その最強のチームを1958年に悲劇が襲いました。チームの存続が不可能とされた飛行機事故でした。映画「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇-」は、そのときの実話に基づいたドラマです。

不可能と思われる情況の中で、決してあきらめなかったコーチ、ジミー・マーフィー。悲劇のどん底にあっても光を見失わなかった不屈の魂の持ち主ジミー・マーフィーを追います。


物語

イングランド代表として輝かしい記録を打ち立てたボビー・チャールトン(ジャック・オコンネル)。しかし、彼が若いときは、マンチェスター・ユナイテッドに入ったにもかかわらず、なかなかレギュラー入りできないことに苦しんでいた。そんな彼を、コーチのジミー・マーフィー(デヴィッド・テナント)は、「いつかおまえの出番が来る。今はその日のために、メニューをこなして力をつけろ」と力づけていた。

1956年、念願のスタメン入りの知らせを受けたボビーは、足首をねんざしていたにもかかわらず、このチャンスを逃すまいと、対アスレチック戦で先発メンバーとして出場した。チームの勝利に貢献し、みごとなデビュー戦となった。

ユナイテッド
(C)2World Productions (United) Limited MMX1


1958年、前期のリーグ優勝を果たしたマンチェスター・ユナイテッドは、UEFAチャンピオンズカップの準々決勝で、2月5日に行われるユーゴスラビアの強豪チームとの、アウェイでの第2戦のためにベオグラードにいた。

その日、監督のマット・バスビー(ダグレイ・スコット)は、リーグを運営するフットボール協会のハーデイカーから、2月8日に行われるリーグ戦3連覇がかかった試合だった。キックオフの24時間前にまで帰国するようにとの命令だった。強行日程となるため、マット監督はチャーター機を依頼した。その日の戦いは3対3の引き分けだった。

2月6日、チャーター機は、1時間遅れでベオグラードを出発し、急のために、西ドイツのミュンヘン・リーム空港に到着した。給油後、離陸を始めたがエンジントラブルで2度の中止。3度目の離陸のとき、機内から声が出た。「寒い!」「離陸を止めたほうがいいのではないか」「ドイツで死んでたまるか」「飛びたくない」。果たして、離陸に必要な速度が出せなかった機体は、滑走路の脇にある民家に突っ込んだ。

どのくらい時間がたったのだろうか。ボビーが目を開けると、辺り一面真っ白な世界だった。座席に座っていた。しかし、隣の選手は動かず、遠くには破壊された機体から炎が出ていた。その間を、一人の選手が、破壊され炎が出ている機体の中から、仲間を運び出している姿が見えた。しかし、ボビーは、悲惨な場面に恐れをなすばかりで、何をしていいかわからず呆然としていた。

即、英国に悲しいニュースが報じられた。7名の有力選手が亡くなった。フットボール協会のハーデイカーからは、試合の延期を認める電話がかかってきた。奇跡的に一命をとりとめたマット監督は、自分の責任だと落ち込んでいた。治療のかいないく亡くなっていく人はさらに増えていった。

理事会が開かれ、クラブ閉鎖の声が出た。しかしジミーは語り出した。「今こそ、存続が必要だ」。選手たちは、ジミーが見つけてきた人だった。「あの惨事には負けない!」 クラブには、弔辞の他、犠牲者への手紙や義援金、子どもたちのお小遣いが送られてきた。

ジミーのチーム作りが始めった。彼は、フットボール経験者を公募した。ボールから遠ざかっていたボビーのところにも、ジミーがやってきた。しかしボビーは「ぼくは出ない」と断った。

そして、ジミーが寄せ集めた選手での準々決勝戦が始めった。

 

この映画の主人公は名コーチのジミー・マーフィーです。しかしコートというのは、チームの中では主人公ではありません。監督の意向にそって動く脇役、裏方です。映画の中でも、主はチームであり、コーチは脇から支える立場で描かれています。あきらめず、チームを結成し勝つことを疑わないジミーとは対照的に、立ち上がることができないボビー。

大きな困難に遭いながら、それをどのように受け止めているのか。対照的に描かれています。サッカーは信頼をおける仲間との間でこそできるものであること、また、チームへの誇り=愛が支えてくれていることが見えてきます。人間に必要なことが何なのか、大きな事件をとおして見えてきます。


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