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お薦めシネマ
グスコーブドリの伝記
2012年 7月
- 監督・脚本・絵コンテ:杉井ギサブロー
- 原作:宮沢賢治
- キャラクター原案:ますむら・ひろし
- 音楽:小松亮太
- 主題歌:小田和正
- 声の出演:小栗旬、忽那汐里、林隆三、草刈民代、
佐々木蔵之介、柄本明、林家正蔵 - 配給:ワーナー・ブラザース映画
2012年 日本映画 1時間48分
宮澤賢治の有名な作品「銀河鉄道の夜」が、ネコのキャラクターのアニメで映画化されてヒットしたのは1985年のことです。幻想的な映像が印象的に残っています。その同じスタッフが、5年前から構想を練った「グスコーブドリの伝記」が、困難を乗り越えて、この夏公開となりました。
豊富な火山の知識と、冷害に苦しむ東北の人々の暮らし、現実生活から生まれた部分と、ファンタジーの世界が広がっている作品で、子どもとともに楽しく見ることもができますし、また、現実の困難な問題として、賢治からヒントをもらおうと考えながら見ることもできます。
物語
イーハトーヴの森の中で暮らすグスコー・ブドリ(小栗旬)は、木こりのお父さん(林隆三)とやさしいお母さん(草刈民代)、かわいい妹のネリ(忽那汐里)と、貧しいけれど仲良く暮らしていた。しかし、冷害が続き、とうとう森の中には何も食べるものがなくなりまった。お父さんが、続いてお母さんが森に行ったまま戻らず、お腹をすかせたネリも、猛烈な風とともにやってきた「コトリ」(佐々木蔵之介)にさらわれてしまった。
(C) 2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会 / ますむら・ひろし
(C) 2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会 / ますむら・ひろし
一人になったブドリは、家を後にする。しかし、途中で倒れてしまう。そんなブドリを救ってくれたのは、てぐす工場の工場長だった。てぐすをかけるために、過酷な労働を強いられる。そこでの仕事が終わり、ブドリは再び歩きはじめる。
森を抜けると段々田んぼが広がっている里へとやってきた。そこで「赤ひげ」(林家正蔵)に出会い、畑仕事を手伝うようになる。赤ひげ夫婦に息子のように大切にされ、一所懸命働いたブドリだが、また冷害がやってきて、赤ひげのところにいることはできず街へと向かう。
(C) 2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会 / ますむら・ひろし
(C) 2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会 / ますむら・ひろし
イーハトーヴの街にやってきたブドリは、大学へと向かう。以前に読んだ本の著者であるクーボー博士(柄本明)の授業を受け、博士から仕事を紹介してもらう。クーボー博士が紹介してくれたのは火山局だった。
火山局のペンネン技師の指導を受けながら、一所懸命に勉強したブドリは立派な局員となる。
そして再び、大きな冷害が襲ってきた。
「銀河鉄道の夜」に登場する人物が、映画のあちらこちらに登場します。「あ、鳥追いだ」「あ、あの兄妹だ」と見つけるのも楽しいです。また、声の出演者が豪華です。
ブドリやネリの大きな目が、心の動きを語ります。何に対しても一所懸命に立ち向かうブドリ、悲しみにあっても、困難にあっても、前を向いて生きています。だれかが現れて、さりげなく助けてくれます。他者の力によって生かされていることを感じます。
ひたむきに生きてるブドリの姿に、今の時代の生き方が重なってきます。「一人ひとりが国のために何ができるのか」。ブドリは火山に向かいました。「あなたは、何ができるか」「あなたにもできることがあるはず」と、ブドリから呼びかけられているように感じました。