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 人生、いろどり

2012年10月

人生、いろどり

  • 監督:御法川修
  • 音楽:水谷広美
  • 出演:吉行和子、富司純子、中尾ミエ、平岡祐太、村川絵梨、
        藤竜也
  • 配給:ショウゲート

2012年 日本映画 112分


徳島市の中心から車で約一時間のところに位置する徳島県勝浦郡上勝町は、四国で一番小さな山間の町です。山林に囲まれた棚田が美しいみどりの里に、2,000人弱の人々が住んでいます。人口の約半数が高齢者という過疎化と高齢化が進んでいます。町民の暮らしも役所の財政も苦しい中で、役場の職員が地域活性化のために奮闘しているのですが、なかなかよい方法がみつかりません。

時代の流れの中で、町の主要産業であった材木やみかんの売り上げが減り、そこへ1981年に局地的な寒波が襲いました。みかんの木が枯れ、農業は大打撃を受けました。

しかし、その後の試行錯誤の中で、町は農業再編成に成功したのです。椎茸栽培も順調になりました。そんな中で高齢者たちが取り組んだのが「葉っぱビジネス」です。「葉っぱ」とは、お料理の下に敷く南天の葉、お料理の横に添えるもみじ、ぎんなんを通す松葉など、「つまもの」と呼ばれるものです。

映画「人生、いろどり」は、葉っぱビジネスを立ち上げ、自分たちの人生をもう一度生き生きとさせた、おばあちゃんたちの実話に基づくドラマです。


物語

徳島県の山間の小さな町・上勝町の農協で働く江田(平岡祐太)は、頭を悩ませていた。町の約半分が高齢者で、みかんで暮らしていた町だが、今はみかんでは生きていけず、わずかな畑から採れる野菜を売って生計を立てていた。江田は何か見つけなくてはといろいろと試みてみるのだが、どれもうまくいかず、上司や農民からも期待されなくなっていた。

そんなある日、江田は居酒屋で見た光景に出くわす。料理に添えられていた葉っぱを、客が大切に持ち帰ったのだ。「これだ!」江田は、料理に彩りを添える「つまもの」という葉っぱを、商品として売り出す事業を思いつく。「葉っぱなら、この町にいくらでもある」と、江田は町民を集め葉っぱ事業を提案した。今度こそはと意気揚々と説明するものの、多くの町民は、「そんな葉っぱを買う人がいるものか」と話半分で出ていってしまった。「どうして通じないのか」とあきらめきれずにいると、雑貨店をやっている石本花恵(富司純子)が手を挙げた。

花恵は、都会に住む息子が勧める老人ホーム行きを断る口実にしようと、この仕事に目をつけたのだ。「薫ちゃん、一緒にしよう!」と、そこで話を聞いていた幼なじみの徳本薫(吉行和子)に声をかけた。

人生、いろどり
(C)2012『人生、いろどり』製作委員会


江田、花恵、薫の3人は、集めた葉っぱをキレイにトレイに入れてラップし、市場へ向かった。しかし、仲買人の石立裕香(村川絵梨)から「ゴミ」と言われショックを受ける。3人は、母親の看病のために都会から帰ってきている尾関路子(中尾ミエ)の家へ向かった。路子も、花恵や薫の幼なじみだった。田舎を嫌った路子は都会に出て中学校の教員をしていたが、定年後も都会で暮らしていた。腰を痛めた母親の看病のために、上勝町に戻っていた。路子の父親は花木農業を営んでいたので、草花に詳しい路子に教えを請うたのだ。花恵と薫は、路子もこの事業の仲間に誘おうと考えていた。

人生、いろどり
(C)2012『人生、いろどり』製作委員会


路子から、「つまものの葉っぱがどのように使われているかも調べないで商売を始めたのか」と指摘された4人は、料亭の料理を見るため徳島市へと向かった。懇願された料亭の女将は、つまものの意味から説明し、器に合ったサイズが大事だと教えてくれた。

工夫を加えた花恵たちのつまものは、次第に売れるようになった。しかし、葉っぱビジネスが、薫の夫・輝男(藤竜也)に知られることとなる。輝男はいろいろな事業を始めたがどれも失敗していた。「お前は俺についてくればいいのだ」と反対した。輝男の怒りをかって家を飛び出した薫は、夫に逆らったことを反省するが、路子の「意地をはって家に帰れなかった。父と一緒に花木の仕事をしたかった」という告白を聞き、自分を生き生きとさせてくれている葉っぱビジネスを続けようと決心する。

季節より前に葉っぱを提供するために、ビニールハウスを建てることにした。町の女性たちも集まり、にぎやかな笑い声がハウスの中から聞こえてきた。路子は花木栽培を指導し、花恵は葉っぱを使った細工物を作って、3人ともそれぞれ充実した日々を過ごしていた。しかし、ある日・・・。

人生、いろどり
(C)2012『人生、いろどり』製作委員会


 

1987年に始まった葉っぱビジネス「いろどり」は、20年を経た今も活発に営業しています。身近にある草木が大切に思え、元気をもらう映画です。


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