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お薦めシネマ
グッモーエビアン!
2012年12月
- 監督・脚本:山本透
- 脚本:鈴木謙一
- 原作:吉川トリコ『グッモーエビアン!』(新潮文庫刊)
- 音楽:葉山たけし
- 出演:麻生久美子、大泉洋、三吉彩花、能年玲奈
- 配給:ショウゲート
2012年 日本映画 1時間46分
物語
若いときパンクバンドのギタリストだった母を持つ中学生のハツキ(三吉彩花)は、母親のアキ(麻生久美子)が普通の親のようでなく、家事や子育てに一生懸命でない分、しっかり者でまじめな女の子に育った。ハツキには父親がいないが、ハツキが生まれたときから一緒に住んでいるヤグ(大泉洋)がいる。ヤグは、アキと同じバンドのボーカリストで、ハツキを「ハッピーちゃん」と呼んでかわいがっている。ヤグは風来坊で、いなくなったかと思うと、しばらくして海外からハガキが届き、どこにいるのかが分かるという具合だ。そんなヤグを受けて入れているアキの思いが、ハツキには分からないでいる。「ロックだね」「パンクだね!」というのが、お酒を飲んだアキの口癖だ。
ある日、ヤグからハガキが届く。どうやらヤグが日本に帰ってくるらしい。学校が終わって、買い物のため商店街にきたハツキは、人々の間で大声を上げて騒いでいるヤグを見る。あわてて背を向けたがヤグに見つかってしまう。「ハッピーちゃん」と大声でハツキを呼ぶヤグに、ハツキはへきへきだ。
(C) 2012『グッモーエビアン!』製作委員会
まわりを気にせず自分の思い通りに表現するヤグと、ヤグに対して何も言わないアキに、ハツキはイライラしている。そんなハツキの家族を、親友のトモ(能年玲奈)はステキだと言う。ハツキはトモに「何も分かっていない!」と言う。
ある日、トモがハツキに大事なことを告げようとするのだが、ハツキはアキとヤグのことで頭がいっぱいでトモの思いに気づかずにいた。トモが引っ越すことを知ったのは、彼女が出発した後だった。「思っていることは、きちんと伝えないと取り返しがつかないことになるよ」と、ヤグはハツキに伝える。
ヤグの度を超した明るさと図々しさが嫌いなハツキは、ある日、アキに対して怒りを爆発させてしまう。そのことがきっかけで、ハツキは、アキとヤグが一緒に暮らすようになったいきさつを知るようになる。
(C) 2012『グッモーエビアン!』製作委員会
(C) 2012『グッモーエビアン!』製作委員会
一方的な見方で物事を見、怒っていた少女が、視野を広げていきながら他者を受け入れ、家族を受け入れて成長していく姿を描いている、愛情たっぷりで、やさしいパンチの効いた作品です。
バカなことばかりして……と思われる行動の底に、親の深い愛が見えました。「いい高校へ行って、いい大学に入って、そういうのはつまらん!」と啖呵を切る麻生久美子さんの姿がカッコイイ! 何が幸せか、ヤグの姿を見て思わされます。