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 ひまわり ~沖縄はわすれない、あの日の空を~

2013年 1月

ひまわり

  • 監督:及川善弘
  • 脚本:鈴大城貞俊、山田耕大
  • 音楽: 山谷知明
  • 出演:長塚京三、須賀健太、能年玲奈、福田沙紀
  • 配給:映画センター全国連絡会議、 ゴーゴービジュアル企画

2012年 日本映画 1時間50分

  • 沖縄復帰40年企画作品

地獄の沖縄戦を体験した沖縄が、戦争の悲惨さをぬぐい平和な生活を求めて歩みはじめたわずか15年後に、またも悲惨な事件が起きました。1959年、石川市(現うるま市)の宮森小学校に、米軍のジェット戦闘機が墜落したのです。

住宅に墜落したジェット戦闘機は、その衝撃で跳ね上がり、小学校の校舎の屋根に触れ、外れたエンジンが教室の中に飛び込みました。漏れた燃料で、あたりは激しい火の海となりました。小学校の児童11人と、大人6名が犠牲となりました。200名近い児童と大人が重軽傷を負い、小学校の教室を含む21棟が全焼、20棟が破壊され、大きな悲しみが沖縄の人々を襲いました。

物語

一瞬の出来事で同級生と先生を失った良太(長塚京三)は、悲しみを心の奥に押し隠し、沖縄人の思いを三線と歌に託してその後の日々を生きていた。

さなぎ
(C)2012年 映画「ひまわり」製作委員会


2012年、良太の孫の琉一(須賀健太)は、大学のゼミで、2004年の沖縄国際大学へのヘリコプター事件と宮森小学校のジェット戦闘機墜落事件を調べることになった。基地で働いている人や、父親が基地で働いているゼミ仲間の加奈(能年玲奈)など、さまざまな立場の人に話を聞くうちに、簡単に語ることができない沖縄の現実を改めて見つめることになる。ゼミの発表をどのように行うかを考えていた琉一たちは、コンサートを企画し、三線の演奏ということで、おじいの良太を招くことを思いつく。

 

沖縄の人々は、喜びも悲しみも、歌と踊りに託して生きているそうです。良太も、悲しい思い、恨みたい思いを、三線の歌に託して、海に向かって歌います。しみじみと歌う良太の歌は、多くの説明よりも心に残ります。

沖縄はじめ多くの国民が、導入反対を必死に叫んだのですが、オスプレイは沖縄の米軍基地に配備されてしまいました。米軍の対応へ怒りや、民家の上を飛ぶ戦闘機やヘリコプターの危険性を訴える沖縄の人々の思いの背景にあることを、良太たちの調査を通して、見る者も次第に知るようになります。


あゝこの悲惨 - あなたたちの冥福を祈ります-
            宮森小学校校長 作 仲嶺盛文

  あゝこの悪惨事
  ゆきて帰らぬ子どもたち
  あなたたちをなくして私はとても悲しいです
  試練の負荷にたえかねて いくたびか
  くずれさろうとするのを
  人々の情けとはげましにささえられてやっとたええています
  もう児童は あなたたちはもう永久に帰らない

  私は悲しくてたまらないのです
  これは一体どうしたということでしょう
  これでよいのか 戦争がすんで十五年もなるというのに
  基地の島に住むわれわれ民俗の大きな悲劇と思うのです
  30日火曜日の2時間目まで
  この美しい学園で先生とたのしくまなんだあなたたちは
  Z機の爆音と共に 全身火だるまになり先生に助けてと一声のこして
  一瞬にしてこの世から消えさっていった
  あまりにも悲惨な事ではないか
  私はどうしてよいかわからない
  けれど、もうどんなにないたってわめいたってあなたたちは帰らない
  あゝ私は勇気を出しておちつきをとりもどし
  あなたたちのめいふくをいのります

  どうかあなたたちも安心していって下さい
  天国では神様が愛の心をもってあたたかく迎えて下さいます
  どうか いつまでも 学校の守り神となって下さい
  そして 世界の平和のもと力になって下さい
  私はいつまでもあなたたちのめいふくをいのりつづけます

      『琉球新報』 1959年7月2日(木)夕刊 (映画パンフレットより)


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