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 異国に生きる 日本の中のビルマ人

2013年 3月

異国に生きる

  • 監督・撮影・編集:土井敏邦
  • 出演:チョウチョウソー、ヌエヌエチョウ
  • 配給:浦安ドキュメンタリーオフィス

2012年 日本映画 1時間40分


ビルマ(ミャンマー)の民主化を求めて活動していたチョウチョウソーさんは、軍事政権の弾圧から逃れて、1991年、日本に亡命しました。「祖国を解放したい」という強い望みを抱き、生活のためにレストランで働きながら、ビルマの民主化を求める活動を行い、“難民”申請をして認定を待ちました。ミャンマー大使館の前で、たびたび仲間たちと集って抗議行動をしました。国には、妻を残しています。長い間、パレスチナをカメラにおさめてきた土井敏邦監督は、ビルマ民主化運動から10周年を迎えた1998年に出会ったチョウチョウソーさんの姿がパレスチナの青年たちに重なり、チョウチョウソーの16年間を追いました。

祖国での民主化は、数回にわたる軍事政権の期待外れの行いによって押しつぶされそうになりますが、2010年、アウンサンスーチーさんが解放されて自由の身となり、選挙が行われるまでになりました。

チョウチョウソーさんも、長い年月をかけて1998年にやっと“難民”として認定され、翌年、祖国に残してきた妻のヌエヌエチョウさんを日本に迎えることができました。ビルマの民主化を求めて活動をしてきた日本の仲間たちも、ヌエヌエチョウさんを温かく迎えました。2002年、2人は高田馬場にビルマ料理店“ルビー”を開きました。店には、ビルマ料理を味わう日本人や情報を求めるビルマの仲間たちが集まってきます。

チョウチョウソーさんは、仲間のためにも働きます。難民資格を持っているチョウチョウソーさんは、収監されている仲間に面会するために、茨城県牛久市にある入国管理センターへ出向くこともあります。

日本で、このように自国の民主化を求めて戦っている人々がいることを知りました。昨年公開された、アウンサンスーチーの生涯を描いた劇映画 「The Lady ひき裂かれた愛」と合わせて見ると、ビルマの軍事政権下での厳しい弾圧と、民主化のために活動する人々の命懸けの行動がより理解できます。多くの人々が軍事政権の犠牲となりました。アウンサンスーチーさんをリーダーとして戦ってきた人々は、ビルマで、そして日本でも思いを一つにして活動を行ってきました。

そんな中で、2011年3月11日、東日本大震災が起きました。チョウチョウソーさんは、仲間たち85人と被災地に向かいます。「困っている人がいたら、助けるのがあたりまえ」と、ビルマ料理で被災者を応援しました。

異国で生活するだけでも大変なのに、政治難民として壁の高い日本政府の政策と戦いながら、いつ光が見えるのか分からない祖国の軍事政権からの解放、民主化のために地道に活動を続けるチョウチョウソーさん。何重の苦しみの中でも、熱い信念を持ってじっくりと忍耐強く、仲間とともに取り組むチョウチョウソーさんの姿勢が心に残ります。

アウンサンスーチーさんの解放と選挙の実施に、国民は大きな喜びに包まれました。さらに今年4月には、アウンサンスーチーさんが来日する予定です。チョウチョウソーさんは、どんな思いで、スーチーさんを迎えるのでしょうか。


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