お薦めシネマ
アンコール!!
2013年 6月
SONG FOR MARION
- 監督・脚本:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
- 主題歌:セリーヌ・ディオン
- 出演:テレンス・スタンプ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
ジェマ・アータートン、クリストファー・エクルストン - 配給:アスミック・エース
2012年 イギリス映画 1時間34分
- 第37回トロント国際映画祭クロージング作品
立派に働いてきた社会的な顔を、リタイアした後も崩せない男性、いますよね。家の中で、ムッツリした顔で毎日を過ごしています。ちょっとギアを入れ変えて肩の力を抜けば、人生を楽しく過ごせるのに……。女性の方は違います。子育てや会社務めをしている夫への世話も終わり、これからは自分のために生きるわよ~と、人々と交わり、趣味や活動に生き生き活動している女性。「アンコール」は、そんな夫婦のお話です。
物語
マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、病気で身体が不自由になり車イスの生活を送っている。しかし明るく社交的で、高齢者の合唱団「年金ズ」に行くことを楽しみにしていた。合唱団「年金ズ」は、いろいろの国籍の人が集まり、皆練習を楽しみにしていた。若いエリザベス(ジェマ・アータートン)の指導も楽しく、皆彼女に信頼を置いていた。マリオンは、難しい顔をして家にこもっている夫のアーサー(テレンス・スタンプ)を合唱団に誘おうと、毎回合唱の練習場まで送り迎えを頼んでいた。車イスを押して練習場まで来た後アーサーは、時々窓から練習をのぞき見ながらも、送り迎えをする以外のことはしなかった。
(C) Steel Mill (Marion Distribution) Limited 2012 All Rights Reserved.
アーサーは、息子ジェームズ(クリストファー・エクルストン)に対しても距離ができていた。何に対してもつまらないアーサーは、マリオンが身体に無理をしても練習に出かける「年金ズ」のメンバーやエリザベスも気に入らなかった。
「年金ズ」は、エリザベスの提案で合唱コンクールに出ることになった。皆うれしくて、予選に向けて練習がはじまった。エリザベスの選んだ曲は、定番のクラシックや宗教曲ではない、ラップやメタルロックだった。メンバーはエリザベスの選曲に驚いたが、リズムある曲に身体が動き、自分のパートを練習し始めた。マリオンには、ソロ曲が割り当てられた。
(C) Steel Mill (Marion Distribution) Limited 2012 All Rights Reserved.
予選の日、野外ステージで歌う「年金ズ」の歌に、最初は当惑していた聴衆も、総立ちになり踊り出していた。最後にマリオンは、「トゥルー・カラーズ」を熱唱した。「わたしたちには、あなたの本当の色が見える だからあなたが好き 怖がらないで 本当の色を見せて……」。アーサーへの思いを込めて歌ったマリオンの歌は、人々に感動を与えた。マリオンに駆け寄るジェームスと孫のジェニファーの姿を見ながら、アーサーは自分の閉ざした姿勢に違和感を抱きじめていた。
しかし練習の最中で、マリオンが倒れてしまう。ガンが再発していた。
(C) Steel Mill (Marion Distribution) Limited 2012 All Rights Reserved.
イギリスの名優、テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴが、長年連れ添った夫婦の味をかもし出しています。マリオンの明るさと夫への思いが、心に残ります。
夫婦、年を重ねこと、父と息子、若者と高齢者、ともに声を重ねる合唱のすばらしさなど、いろいろな要素がつまった作品です。