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 25年目の弦楽四重奏

2013年 7月

A LATE QUARTET

25年目の弦楽四重奏

  • 監督:ヤーロン・ジルバーマ
  • 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、マーク・イヴァニール、
    キャサリン・キーナー、クリストファー・ウォーケン
  • 配給:角川映画

2012年 アメリカ映画 1時間46分


世界的に活躍していた弦楽四重奏団が、リーダーの引退によって浮かび上がってくるさまざまな問題に振り回され、再び出発する過程を描いた作品です。彼らの演奏のすばらしいハーモニーは、互いの信頼関係によると思われていました。しかし、腹の底のはふつふつした不満が溜まり、微妙な意識のズレがあったのです。次第に大きくなる不協和音は家族にも波及し、思わぬ方向へ向かっていきます。


物語


25周年を迎える弦楽四重奏団「フーガ」は、記念演奏会のために練習をはじめようとしていた。演奏する曲目はベートーヴェン弦楽四重奏曲14番。この演奏会を最後に、リーダーのピーターは引退を決めていた。パーキンソンに冒されていたのだ。

ピーター(クリストファー・ウォーケン)はチェロを演奏している。ピーターの愛弟子でヴィオラ奏者のジュリエット(キャサリン・キーナー)は、母親を早くに無くし、ピーターと彼の亡き妻を親代わりと思い慕っていた。ジュリエットには、ピーターのいない演奏は、考えられないことだった。

25年目の弦楽四重奏
(C) A Late Quartet LLC 2012


第2ヴァイオリンのロバート(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、ジュリエットの夫でもある。この機に、ロバートは、交代で第1ヴァイオリンを弾きたいと打ち明けた。しかしジュリエットは、ロバートには第1ヴァイオリンは無理だと言い張った。妻の言葉に憤ったロバートは、ジョギングでよく行き会うピラールの店を尋ね、その晩をともにしてしまう。

25年目の弦楽四重奏
(C) A Late Quartet LLC 2012


鋭いジュリエットは、夫の不貞にすぐ気付く。ロバートの謝罪を受け入れず、出ていくよう告げる。ロバートとジュリエットの一人娘アレクサンドラが欲しがっているヴァイオリンのオークション会場で、ジュリエットに会ったロバートは、結婚のときからいだいていた不満をジュリエットにぶつけ、「君の心は、いつも遠くにあった」と告げる。

アレクサンドラも、一年のうち7か月を演奏旅行で家にいなかった母親に、自分とヴァイオリンとどっちが大切かと、小さいころから不満を抱いていた。

ジュリエットに頼まれて、アレクサンドラに第1ヴァイオリン奏者になる指導をしていた第1ヴァイオリン演奏のダニエル(マーク・イヴァニール)は、「情熱を解き放て、何を恐れている?」というロバートの言葉に火を付けられ、ストイックに生きていた自分の心を解き放ち、アレクサンドラと男女の関係になっていく。学生時代にダニエルと恋人同士だったジュリエットは、アレクサンドラをなじり、母と娘の関係は険悪になっていく。

25年目の弦楽四重奏
(C) A Late Quartet LLC 2012


演奏会を2日後にひかえ、3人はピーターの家に集まった。しかし、練習どころではなく、互いの感情のぶつけ合いの場となってしまった。

「作曲家の深い思いを知るためには、四重奏が一番だ」と四重奏団をはじめたピーターは、「音楽に敬意を払え!」と3人を家から追い出す。

 

一人ひとりの心理描写がすばらしく、静けさを漂わせながらも、内容の深い作品となりました。彼らの葛藤をとおして、見る者の心にも、目が向けられていきます。


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