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お薦めシネマ
クロワッサンで朝食を
2013年 7月
UNE ESTONIENNE A PARIS
- 監督・脚本:イルマル・ラーグ
- 脚本:アニエス・フォーヴル 、リーズ・マシュブフ
- 出演:ジャンヌ・モロー、ライネ・マギ、パトリック・ピノー
- 配給:セテラ・インターナショナル
2012年 フランス、エストニア、ベルギー映画 1時間35分
- 2012年ロカルノ国際映画祭エキュメニカル賞受賞
フランスの名優・ジャンヌ・モローが、朝食のクロワッサンにこだわる気位の高い高齢の女性を演じ、これぞ“フランス映画”という作感じです。エストニアの女優・ライネ・マギもステキです。
物語
エストニアに住むアンヌ(ライネ・マギ)は、離婚後、子どもたちも成長して家を離れ、介護した母も亡くなり、気が抜けたようなときを過ごしていた。そこへ、かつて働いていた老人ホームの職員から、パリに住むエストニア出身の、高齢の女性の世話をしてくれないかと電話が入る。若いときからパリに憧れていたアンヌは、新しい道を求め、思い切ってパリに向かうことにする。
到着した空港には、ステファン(パトリック・ピノー)という男性が迎えに来た。彼の案内で向かったのは、パリ16区の高級アパルトマンの一室だった。世話をする相手の女性フリーダ(ジャンヌ・モロー)はすでに休んでおり、アパルトマンを抜け出したアンヌは、その夜、憧れのパリの町を歩いた。
翌朝、朝食を用意してフリーダの部屋に届けると、フリーダは朝食はいらない、家政婦もいらないと怒り、アンヌを追い出した。アンヌは、カフェを経営するステファンの元に向かった。彼は、フリーダは今までも同じ態度で何人もの家政婦を追い出したので、気にするなと諭した。
翌朝、アンヌの好きなクロワッサンを用意したにもかかわらず、フリーダは朝食を拒否した。スーパーで買ったものは、本当のクロワッサンではないと言うのだ。クロワッサンはパン屋で買うものだと言う。
やがてアンヌは、フリーダとステファンが若いとき愛しあっていたことを知る。
アンヌは、同郷人を求めて、フリーダの部屋にあった新聞で見つけたエストリア福音教会を訪れた。そこで、フリーダはパリに住むエストリア人たちとの交わりを避けていると知った。
日がたつにつれ、フリーダは、次第にアンヌに話しかけるようになった。ある日、キッチンでアンヌの入れたお茶を飲みながら、若いときのステファンの話を始めた。フリーダは、アンヌがパリの街を散歩していることを知ると、カフェに行こうとアンヌを誘い、自分のコートをアンヌに着せて一緒に歩きはじめた。
ある日、フリーダが一人でカフェに行くと、ステファンは温かく迎えてくれたが、自分の人生があり、かつてのようにフリーダの思うようにはならないと告げる。ショックを受けたフリーダは、部屋に閉じこもってしまう。
初めは拒否されたアンヌですが、彼女の物静かな態度は、次第にアンヌの心を開き、女性同士の新しい関係へと進んでいきます。こういう関係、いいなと思います。孤立していると感じながらもプライドを崩すことができないフリーダと、フリーダを黙って受け入れるアンヌ、どちらも魅力的な女性です。