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 「また、必ず会おう」と誰もが言った。

2013年10月

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

  • 監督: 古厩智之(ふるまや ともゆき)
  • 原作: 喜多川泰 単行本『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』(サンマーク出版)
  • 脚本:加藤淳也
  • 音楽:遠藤浩二
  • 主題歌:「幻の月」元ちとせ
  • 出演:佐野岳、イッセー尾形、杉田かおる、塚本晋也、
        古村比呂、国広富之
  • 配給:BS-TBS

2013年 日本映画 1時間44分


TBSサービス60周年の記念作品です。よく見せようとウソばかりついている、ちゃらんぽらんな高校生が、ウソから始まったヒッチハイクの旅の途中で、厳しく孤独な生活を送っている人々の心に触れ、「自由とは……」「生きるとは……」を体験し成長していく、青春ロードムービーです。


物語


友達に格好良く見せようとしてその場をつくろい、ついついウソを言ってしまう高校2年生の和也(佐野岳)は、今日も、教室の中で「東京に行ったことがある」とウソを言い、来週、その証拠となる写真をみんなに見せるはめになる。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。
(C) 2013「またかな」製作委員会


母親(古村比呂)に、福岡の大学の下見に行くからとお金をもらい、熊本から東京に向かった。父(国広富之)も無関心なのか、会話もなく、和也の行動を心配する様子はない。

スカイツリーをバックに、証拠となる写真を撮って安心した和也 だったが、途中でお金を盗まれたことに気付き、挙げ句の果てに最終の飛行機にも乗り遅れる。「最終のバスに乗り遅れた。福岡に一泊して明日帰る」と母親にウソの電話を入れ、空港のロビーで一晩を過ごそうと、ソファーに横たわる。しかし、ここは真っ暗になるからと、売店に務める昌美(杉田かおる)に声をかけられ、彼女のアパートに泊まることになる。

昌美は、酒浸りの荒れた生活をしていた。和也を部屋に残して、外へ飲みに出ていってしまった。和也は、「お金がなくなれば親から送ってもらい、それで帰ったら何にもない旅になる。自分の力で帰ってみなよ。一生忘れられない旅になるよ」と昌美に言われ、別れた夫のもとで暮らす息子への誕生プレゼントを運ぶことになる。昌美は、「また、必ず会おうね」と和也を送り出す。

昌美からもらった交通費で静岡に着いた和也が尋ねたのは、さびれた理容店だった。息子は和也と同じ17歳になるが、11歳のときに亡くなったという。それを知っているにもかかわらず、昌美からは誕生日になるとプレゼントが届くと理髪店の主人(塚本晋也)は、和也に送られて来たプレゼントを見せた。お礼に散髪をしてもらうが、右側だけ刈り上げという斬新なスタイルにだった。「また、必ず会いましょう」と、息子が使っていた自転車を和也に譲った。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。
(C) 2013「またかな」製作委員会


自転車を盗んだのではないかと職務質問をする警官から逃げるために、和也はトラックの荷台の扉にしがみつく。

トラックは、1時間ほど後にやっと止まった。運転手の柳下(イッセー尾形)の好意で、助手席に乗せてもらい、二人の旅が始まる。柳下は、「まだ福岡にいる」と母親にウソの電話をしている和也に、人生訓を述べながら、厳しくまた優しく接する。次第に、ウソで固めていた和也の鎧ははずれ、気がつくと、自分でも見ないようにしていた本当の自分の心を柳下に話していた。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。
(C) 2013「またかな」製作委員会


突然、柳下が苦しみ出し、和也は病院に飛び込む。柳下はトラックの運転手だったが、定年後は、自分でトラックを買い、座敷に作った荷台で寝泊まりして気ままな一人旅をしていた。柳下は、手の施しようのない末期ガンに冒されていた。柳下の姿と、駆けつけた親戚を前にして、「自由とは……」と和也に人生訓を述べた柳下の思いが、和也の心に触れた。

 

知らない人を不信の目で見、できるだけ人とかかわらないようにと、人と人の関係が希薄になっている現代社会の中で、初対面でもこのように真剣にかかわってもらえるのは、ドラマのこととはいえ、大切だなと思います。かかわりは、まず相手を信じることから始まり、そこからお互いが真剣に向き合うことができる、人と人の関係の大切なメッセージをもらいました。和也にとっては、大切な旅でした。

「また、会おう!」これは、未来に続いていて、希望を与えてくれる言葉なんだと、改めて感じました。別れるとき、「さようなら」ではなく、「また、会いましょう!」という言葉を使いたいと思います。


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