お薦めシネマ
光にふれる
2014年 2月
TOUCH OF THE LIGHT
- 監督:チャン・ロンジー
- 脚本:リー・ニエンシウ
- 音楽:ウェン・ツーチエ、ホアン・ユーシアン
- 製作総指揮:ウォン・カーウァイ
- 演出:ホアン・ユィシアン、サンドリーナ・ピンナ、リー・リエ、
ファンイー・シュウ - 配給:クロックワークス
2012年 台湾、香港、中国映画 1時間50分
- 第14回台北映画祭観客賞
- 第17回釜山国際映画祭観客賞
- 第15回ウーディネ・ファーイースト映画祭
- 第85回アカデミー賞外国語映画賞 台湾代表作
- その他、多数受賞
盲目のプロピアニスト、ホアン・ユィシアンの実話をもとに、彼自身が演じている映画です。こんなふうに人とつきあえたらいいな、こういう思いで人と接することができたら、人間関係はすてきなものになるな……と元気をもらいます。ホアン・ユィシアンは、魅力的で、才能のある人、楽しく優しい人、強くて懐の深い人、すばらしい人です。多くの観客賞を受けているのも、納得できます。
物語
台中の花農家の家に生まれたユィシアン(ホアン・ユィシアン)は、生まれつき目が見なかったが、愛情深い両親のもと、幼い妹からも慕われ、不自由なく過ごしていた。
ピアノの道を歩むため大学に進んだユィシアンは、寮生活をすることになった。今までユィシアンの世話をしてきた母(リー・リエ)は、ユィシアンが自立できるようにと願っていた。ユィシアンの荷物を積んで車で大学までやってきた母は、寮の部屋から教室へ、食堂へ、図書館へと、ユィシアンを連れて歩き道順を教えた。ルームメイトのチンに息子を託して家へと帰っていった。
(C) 2012 Block 2 Pictures Inc. All rights reserved.
ホームルームでは、日直がユィシアンの移動を手伝うと決まるが、迷惑そうな顔をしてユィシアンを置き去りにしてしまった。そんなユィシアンを助けてくれたのは、チンだった。チンは普通に接してくれた。チンはスーパーミュージックというサークルを作り、ユィシアンとともにメンバーの勧誘をはじめた。
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ある日、車が激しく行き交う道路に出たユィシアンは、中央分離帯に行く手をはばまれ、方向が分からなる。困ってうろうろしていると、ファーストフードのアルバイトの女性が彼を助け、目的地の小学校まで送ってくれる。シャオジェと(サンドリーナ・ピンナ)いう名で、アルバイトをして生活費を稼ぎながら、ダンサーになることを夢見ているが、母親の反対などがありなかなかその道を歩めないでいた。小学校で、視覚障害のある子どもたちに音楽レッスンをしているユィシアンを見ながら、「やってみなくちゃ、自分の実力はわからないよ」と背中を押される。
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ダンスから逃げていたシャオジェは、ユィシアンの励ましに答え、体験レッスンに参加し、そこで国際オーディションのチラシを見る。
クラスメートたちが音楽コンクールに向けて準備をはじめたが、ユィシアンは、幼いときのトラウマから、一歩を踏み出せないでいた。小学校のとき、コンクールで一位を取ったが、「目が見ないから一位になったのだ……」という幼い声を聞いてしまったからだ。
シャオジェに、「もし目が見えたら、自分で歩きたい、普通のことをしたい、ジロジロ見られないで……」と話すユィシアン。二人は苦しい心の内を分かち合いながら、次第に励まし助け合い、近い存在になっていった。二人はユィシアンの故郷へと向かった。
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夢に向かって進む若い二人。互いに励まし合いながら、それぞれの夢をどう実現していくか。もがき苦しみながらも、輝かしい青春の姿です。
ステージで、スーパーミュージックが演奏する場面があります。ユィシアンのピアノ演奏から入るのですが、それはユィシアンが作曲したものです。楽しく優しく、彼の心の豊かさがそのまま表現されているようでステキな曲です。「辛いことがあっても、それは人生の妨げではなく、次への一歩となる」という言葉が印象的です。