お薦めシネマ
家路
2014年 2月
- 監督:久保田直
- 脚本:青木研次
- 音楽:加古隆
- 出演:松山ケンイチ、田中裕子、安藤サクラ、内野聖陽
- 配給:ビターズエンド
2014年 日本映画 1時間58分
- 2014年ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品
福島の故郷を追われ、各地にバラバラに疎開している人々は、暮らしていた場所に戻り生活を取り戻したいと思っていますが、その割合も減ってきました。自分たち家族だけが戻っても、生活は成り立たないからです。仕事、生活、地域の施設、インフラが必要で、町が復活されることが必要とされます。田畑を耕して暮らしていた家族の物語です。
物語
「自然を守るために、どうしたらいいのか」「人間がいなくなればいい」・・・本当にそうなってしまった。福島第一原発から20km圏内で農業を営んでいた総一(内野聖陽)は、災害特殊法が適用されて故郷を追われ、仮設住宅で、母の登美子(田中裕子)と妻・美佐(安藤サクラ)、娘の4人で暮らしていた。田畑を耕すことを奪われた総一は自分の存在も喪失し、仕事を見つけることができず、悶々とした日々を送っていた。妻は、幼い娘を姑の登美子にあずけ、仮設住宅から逃れるようにパートとかつてしていたデリヘルをして働いていた。
登美子は後妻で、総一には、登美子が生んだ弟の次郎(松山ケンイチ)がいたが、他の水田の水を抜くという事件を起こし、償いとして故郷を出た後、消息を絶っていた。しかし実はその事件は、総一が起こしたものだった。孫の面倒を見ながら、次郎を守り切れず家を出してしまったことを悔やんでい登美子は、同じ戸口が並ぶ自分の家が分からなくなるようになり、やはり自分の居場所を失っていた。
立ち入り禁止になっている家に次郎が戻り、田を耕しはじめた。ときおり警察が調べにくる家では、明かりを消して夕食をし、田植えをするために苗づくりから始めていた。そこには、同じように、ブルドーザーで土を掘り起こしている農家の仲間がいた。
次郎の生活に、同級生の北村が加わる。だれもいなくなった町を北村と歩きながら、かつての生活を思い出す。地域の実力者だった父のもと、後妻の子ということで次男の次郎は、自分を抑えて暮らしていた。それで、兄の罪を背負って村を追われるように出ていったのだった。今、だれもいなくなった土地で、気兼ねすることなく、田んぼを耕していた。田畑が自分を呼んでいると感じたという。
次郎が警戒地域の家に住み畑に出ていることを知った総一は、家へと向かう。畑を耕す弟を見た総一は、悶々とした気持ちを次郎にぶつけ、取っ組み合いとなる。
(C) 2014『家路』製作委員会 WOWOWFILMS
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「家路」は、汚染された土地への思いを描いた「家路」は、故郷と生活基盤を奪われることの意味を教えています。