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石川文洋を旅する
2014年 6月
- 企画・製作・監督:大宮浩一
- 音響デザイン: 石垣哲
- 出演:石川文洋、平良啓子、ファン・チー・グゥエット、
ファン・ゴック・アン - 配給:東風
2014年 日本映画 1時間49分
「ただいま それぞれの居場所」(2010年)、「無常素描」(2011年)と、日本社会が抱える問題を取り上げている大宮浩一監督が、ベトナム戦争従軍カメラマンとしての取材から50年を迎える沖縄出身の石川文氏の人生を追い、彼の胸中を垣間見ていきます。
石川文洋は、1938年、沖縄県で生まれました。4歳のとき、沖縄を離れて千葉県船橋市に移住したので、1944年夏、戦場となった沖縄にいませんでした。沖縄の哀しみと苦しみを体験していないことがひけめとなって、後の石川の人生に大きく影響していきます。平良啓子さんが、戦場となった沖縄について語ります。
19歳で大学受験に失敗した石川氏は、毎日映画者のニュース映画のカメラマン助手となり、26歳で世界一周無銭旅行を行います。サイゴンに滞在し、1964年から南ベトナム政府軍・米軍の戦場カメラマンとして、米軍兵士たちの中に混じり、ベトナムに降り立ちます。
米軍がベトナムの村を襲うとき、何台ものヘリコプターで降り立ちます。石川氏も、侵す側からカメラを戦地に向けます。米軍に銃を向けられる村人や子どもたちの様子、撃たれて横たわる夫を助けることができずに立ちつくす赤子を抱いた母親、目の前で銃弾に打たれた米兵、アメリカの市民権を求めて米兵となった沖縄出身の青年ドオイケ・トシオとの出会い、沖縄から飛び立った飛行機がベトナムで人々を苦しめている現実、国際大学に米軍機が墜落したときに、米軍に抗議しなかった日本政府への怒り、3世代目になってもなお残る枯葉剤の犠牲となるベトナムの子どもたち、オスプレイが飛ぶ沖縄の基地。
戦場カメラマンとしてだけでも、その体験を語る上で大きな意味がありますが、石川氏の場合は、ベトナム戦争を撮ったカメラマンが、沖縄出身者であるということから、もっと深い意味が生まれてきます。石川氏の体験と思いをとおして、今の日本社会の危うさが見えてきます。