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坑道の記録 ~炭鉱絵師・山本作兵衛~

2014年 6月

坑道の記録

  • プロデューサー・構成:大村由紀子
  • ナレーション:斉藤由貴
  • 朗読:井上悟
  • 音楽: 小室等、佐久間順平、竹田裕美子、河野俊二
  • 配給:RKB毎日放送
  • 配給協力:浦安ドキュメンタリーオフィス

2013年 日本映画 72分

  • 文部科学省特別選定(成人向き)

炭鉱の町、筑豊。かつて石炭は、日本の主力のエネルギーとして、日本各地の炭鉱で生産されていました。日本一の生誕生産地と言われた福岡県の筑豊で、14歳から坑夫として働きはじめた山本作兵衛は、50年の長きに渡り、危険と隣り合わせの炭鉱の仕事を家族で果たしてきました。

60歳を過ぎてから筆を握り、炭鉱での仕事と生活を、記憶をたよりに絵に描き始めました。その数、1,000枚。このたび、山本作兵衛の描いた絵や日記697点が、ユネスコの「世界記憶遺産」に登録されました。「世界記憶遺産」とは、ユネスコが実施している遺産事業の一つで、歴史的で貴重な文書などを保全し、デジタルデータにして世界に広く公開されることが目指されています。2年に一度登録が行われ、今までに、フランス人権宣言、アンネの日記、ベートーベン交響曲第9番自筆譜、グーテンベルグ聖書、などが登録されています。2011年、「炭鉱絵師・山本作兵衛の作品群」が、日本で初めて登録されました。

坑道の記録
(C) 本橋成一 (C) Yamamoto Family (C) RKB毎日放送


山本作兵衛の没後30年となる2014年、炭鉱絵師・山本作兵衛のドキュメンタリー映画が完成しました。

天井の低い坑道で、夫が掘削した石炭を、妻がかき集め手押し車に乗せています。坑道では、夫と妻が一組となって働いていました。地下の坑道は高温多湿なため、服を着ていることができず、裸で働いています。ボタ山や坑道内など仕事の絵ばかりでなく、子どもたち、共同風呂、祭りなど、炭鉱町のさまざまな場面が描かれています。

坑道の記録
(C) 本橋成一 (C) Yamamoto Family (C) RKB毎日放送


坑道の記録
(C) 本橋成一 (C) Yamamoto Family (C) RKB毎日放送


光の少ない坑道では、色はわからないのですが、山本作兵衛は鮮やかな色で描いています。当時の様子が詳しく描かれており、また、詳しい説明文がついています。食堂の主人など、町の人から求められて描くため、同じような構図の作品が散在しています。

やがて石油の時代となり、多くの人が炭鉱町を後にしました。作兵衞の絵は炭鉱で働いたことのない者にも郷愁を与え、多くの人がその絵に自分を重ねて見ます。山本作兵衛の絵は、国境を越えて、今も炭鉱で働く海外の人々にも、共感を呼びました。山本作兵衛へのインタビューや、炭鉱で働いていた人々の声、炭鉱絵をとおしてわかる、当時の貴重な生活に迫っていきます。懐かしさがこみあげ、ふるさとに思いを馳せる、山本作兵衛の世界です。


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