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お薦めシネマ
ザ・テノール 真実の物語
2014年 9月
- 監督・脚本:キム・サンマン
- 音楽:キム・ジュンソン
- 出演:ユ・ジテ、伊勢谷友介、チャ・イェリョン、北乃きい、
ティツィアーナ・ドゥカーティ - 配給:『ザ・テノール 真実の物語』プロジェクト
2014年 日本・韓国映画 2時間1分
アジア史上、最高のテノールと賞賛され、今まさに、世界で活躍していくという絶頂期に、日本初公演を目前にして、甲状腺ガンに冒されて声を失い、人生のどん底に突き落とされたベー・チェチョルの真実の物語です。ベー・チェチョル自身の泥沼からの復活、彼を支えた妻のユニ、チェチョルの声を取り戻すために奔走する沢田とアシスタントの美咲、それぞれの、苦しみの中から命を賭けたドラマがはじまります。
物語
ヨーロッパでオペラでの大成功をおさめたベー・チェチョル(ユ・ジテ)は、「100年に一人の声を持つテノール」と称され、世界での活躍が期待されていました。ソプラノ歌手のティツィアーナ・ドゥカーティからも、絶賛の声が寄せられました。また家庭でも、同じ声楽家で美しい妻のユニ(チャ・イェリョン)と男の子に囲まれ、成功した人生を歩みはじめようとしていました。
(C) 2014 BY MORE IN GROUP & SOCIAL CAPITAL PRODUCTION &
VOICE FACTORY. ALL RIGHTS RESERVED.
チェチョルの舞台を見た音楽プロデューサーの沢田(伊勢谷友介)は、彼の歌声に惚れ込み、ぜひ日本で公演してほしいと、チェチョルに声をかけます。会社の運営上からも、失敗のできない公演でしたが、チェチョルの公演は大成功をおさめ、二人は厚い友情で結ばれるようになります。このとき、職を見つけて沢田に雇われるようになった美咲(北乃きい)も、次第に経験を重ね、沢田のよきアシスタントとして活躍するようになりました。
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ヨーロッパに戻ったチェチョルは、次の公演「オテロ」の練習をはじめまたが、のどに違和感を覚えます。突然意識を失い倒れたチェチョルに、医師の診断はあまりにも過酷なものでした。甲状腺ガンだというのです。手術を受け、いのちを得たものの、声帯の神経を切ってしまった彼は、再び声を出すことができなくなりました。
人生のどん底に突き落とされたチェチョルを、ユニと沢田は懸命に支えます。仕事がなくなって生活が苦しくなると、ユニは、声楽家として働こうとしますが、バックコーラスのオーディションにさえ受からず、また自暴自棄になっている夫を励ましながらの生活に、疲れ果ててしまいます。
働く場を無くし、韓国に帰ったチェチョルとユニは、奈落の底に落ちていく力に、あらがうことができません。
そんなとき、美咲が、京都にいる一人の医師を見つけてきました。しかし、手術によって、声は出るようになるかもしれませんが、歌うようになる保証はゼロに等しいものでした。
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冒頭のベー・チェチョルののびやかでやわらかい歌声、また実際に活躍しているソプラノのティツィアーナ・ドゥカーティの感情のこもった包み込むような歌声に、オペラとはこんなにすばらしいものなのかと感動しました。オペラへの入門ともなる作品です。
また、国境を越えて信じ合う人と人の物語です。声を取り戻した最初のべー・チェチョルの歌は、心に残る一曲となることでしょう。