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石田朝也監督の、「成瀬巳喜男・記憶の現場」に続く、2作目のドキュメンタリー作品です。東日本大震災から3年を経た2013年3月に撮影を開始しました。3年経っても、その解決が見えない福島第1原発事故。「原子力・原発・放射能のことって、何でこんなに分からないことばかりなのだろう？」と疑問に思った石田監督は、原発反対・賛成の結論を出すには、あまりにも情報が不確かだと、福島で生活をする人々、政治家、専門家、に話を聞く歩みをはじめました。「無知の知」は、石田監督の1年間の歩みを追った作品です。

石田監督がインタビューするのは、第1原発が見える双葉町の人々。「とにかく逃げろと言われ逃げたが、避難所を転々とした。何から逃げるのか分からなかった」と語ります。フリージャーナリストの下村健一氏は、震災当時の様子を、当時内閣広報審議官だったことから政府の内側から語ります。その他、当時、内閣官房長官だった枝野幸男氏、内閣官房副長官だった福山哲郎氏、内閣総理大臣だった菅直人氏は、政権を担っていた当日の混乱を振り返ります。日本原子力発電の出身で、元国会議員の与謝野馨氏、元内閣総理大臣の村山富市氏、鳩山由紀夫氏、細川護煕氏などの政治家たち、外務省原子力課初代課長の金子熊夫氏、東京工業大学の澤田哲生氏、前原子力委員会委員長の藤家洋一氏など原子力の専門家たちです。

石田監督は、知らないことを武器に、震災当時の福島第1原発事故のこと、原発のこと、原発を推進していた時代のこと、これからの日本のエネルギー源などについて次々に質問していきます。大物政治家に直撃する勇気もすごいなと思います。彼らの発言を聞きながら、次第に見えてくるものがあります。今までの報道では得ることのできなかった情報があります。見る人が、これからの自分たちの生活、日本の今後を考えていくために貴重な作品です。