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おみおくりの作法

2015年 1月

STILL LIFE

おみおくりの作法

  • 脚本・制作・監督:ウベルト・パゾリーニ
  • 音楽:レイチェル・ポートマン
  • 出演:エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー、アンドリュー・バカン
  • 配給:ビターズ・エンド

2013年 イギリス・イタリア映画 1時間31分

  • 第70回ヴェネチア国際映画祭オリゾンテ部門監督賞、国際芸術映画評論連盟賞、フランチェスコ・バジネッティ賞、最優秀作品賞/次の都市生活賞、映画賞受賞
  • 第7回アブダビ国際映画祭最優秀作品賞
  • 第10回レイキャビク国際映画祭最優秀作品賞/国際批評家連盟賞
  • 第13回トランシルヴァニア国際映画祭観客賞
  • 第9回トロンハイム国際映画祭観客賞
  • 第54回イタリア・ゴールデングローブ賞脚本賞
  • 他、多数受賞


「おみおくりの作法」は、ウベルト・パゾリーニ監督が、ひとりで亡くなった人の葬儀を行う仕事について書かれた新聞記事から着想を得ました。そこには、孤独とは、死とは・・・など人生とは何かを考える内容が詰まっていました。監督は民生係の人々に取材を重ね、こうして、この映画の主人公であるジョン・メイの人物像が生まれました。

物語

ロンドン、ケニントン地区に、ジョン・メイという名の民生係がいた。身寄りのない人が亡くなったという電話を受けると、その人の家にひとりで出向いて葬儀の準備をし、会衆のいない聖堂で弔辞を読み、司祭の前でひとり祈り、見送った。墓地に葬り、遺品を整理した。役所で他の公務員と交わることはなく、事務所もひとりだった。独身の彼は、仕事を終えて家に帰ってもひとりだった。

 おみおくりの作法
(C) Exponential (Still Life) Limited 2012


ジョン・メイは、同じことを繰り返す単調な毎日を几帳面に過ごしていた。彼の顔に笑顔はなく、表情の変化もなく、淡々と仕事をすすめていた。しかしこの仕事に対して、ジョン・メイには彼なりの作法があった。その人にあった葬儀の曲を選び、部屋の様子から知りうる情報を集めて弔辞を書くということだった。

ある日、彼の部屋の向かいにある家に住んでいたビリー・ストークが、遺体で見つかった。ジョン・メイは自分の近くで、孤独のうちに亡くなった人がいたことに、少なからずショックを受けた。「仕事に時間をかけすぎる」との理由で、役所から解雇を言い渡されたジョン・メイは、ビリーを送る仕事が最後となることから、今まで言葉を交わすこともなく窓から見ていただけのビリーを、心を込めて送ろうと、彼の人生をたどる旅に出た。旅の中でいろいろな人々と出会ったジョン・メインの表情が、変わっていった。

 おみおくりの作法
(C) Exponential (Still Life) Limited 2012


 

孤独のうちに亡くなっていった人を葬る仕事は、周囲から見れば影の仕事、避けたいような仕事に見えます。しかし、それはつまらない仕事ではなく、見送られた人々から見れば感謝すべき仕事なのです。その人の人生を抱き、精一杯の思いを込めて見送る。だれに理解されなくても、ジョン・メイはていねいに見送る仕事を果たしていきました。「何をしたかではなく、どれだけ思いを込めてしたか」と言うマザー・テレサの言葉を思い出しました。黙って心を込めて仕事をする姿から、ひとりひとりの人生を感じることの大切さ、自分の生き様を思いました。心に残るジョン・メイの生き方を、レイチェル・ポートマンの美しい音楽とともにご覧ください。


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