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お薦めシネマ
セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター
2015年 8月
- 監督・エグゼクティブプロデューサー:ヴィム・ヴェンダース
- 監督・撮影:ジュリアーノ・リベイロ・サルガド
- 音楽: ローレント・ピティガント
- 出演:セバスチャン・サルガド
- 配給:RESPECT、トランスフォーマー
2014年 フランス・ブラジル・イタリア映画 1時間50分
- 2015年アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品
- 2015年ベルリン国際映画祭栄誉金熊賞
- 2015年セザール賞ドキュメンタリー賞
- 2014年カンヌ国際映画賞ある視点特別賞、エキュメニカル審査員賞
- 2014年サンセバスチャン国際映画祭観客賞受賞
セバスチャン・サルガド、この名を聞いた人は、哀しみ、落胆を抱えた人の目の、孤高なモノクロの写真を思い出すでしょう。日本にも、たびたび彼の写真展が来ました。砂丘に吹きすさぶ風の中をやせこけた幼い裸のこどもの手を引きながら歩くやせた女性、体重計の布につり下げられている骨だけになった頭の大きな男児、砂漠の枯れ木の前で骨だけになった体で杖を支えに立つ少年、鉱山で、金鉱で土砂を出すため発掘でできた巨大な穴の壁を、土砂を頭でかついで上る無数の黒く汚れてしまった人々。サルガドの写真の前では、静けさ、祈り、沈黙があるのみです。まるで絵画のような構成を持つ写真。中の人々は、じっと見る者に、自分たちを知ってと訴えています。
(C) Sebastiao Salgado (C) Donata Wenders
(C) Sara Rangel (C) Juliano Ribeiro Salgado
サルガドは、あらゆる世界の現状を、世の人々に知ってもらおうと、テーマを決め、何年にもおよぶ調査と撮影の期間を過ごして、その写真を発表します。こうして彼が見ている世界は、人類の、地球の歴史そのものです。
(C) Sebastiao Salgado (C) Donata Wenders
(C) Sara Rangel (C) Juliano Ribeiro Salgado
「盲目の女性」という写真を見たとき、写真が持つ、底知れないパワーに深く心を揺さぶられたヴィム・ヴアンダース監督は、サルガドに心を惹かれていきました。彼の人生を辿りながら、テーマにそって調査し、考え抜いてから写真撮影する彼の姿を、インタビューを交えて追っています。次第に、映画作家となった長男のジュリアーノが、彼の仕事に関わっていきます。次男ロドリゴがダウン症で生まれたことも、彼の視点に新しい世界を与えました。
(C) Sebastiao Salgado (C) Donata Wenders
(C) Sara Rangel (C) Juliano Ribeiro Salgado
映画全体が、サルガドの写真の世界を踏襲しているかのように、静かで精神的に深い内容のものになっています。サルガドが見ている視点、地球に生きるもの、人間、動物、植物への深いまなざしが、「地球へのラブレター」となってわたしたちに呼びかけています。