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FOUJITA

2015年10月

 FOUJITA

  • 製作・監督・脚本:小栗康平
  • 音楽:佐藤聰明
  • 出演:オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、マリー・クレメール、加瀬亮、りりィ
  • 配給:KADOKAWA

2015年 日本・フランス映画 2時間6分



1981年、「泥の河」でデビューし、「死の棘」(1990)で第43回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ&国際批評家連盟賞を、「眠る男」(1996)では、モントリオール映画祭審査員特別大賞を受賞、と独特の映画表現で作品を世に出し続けている小栗康平監督の10年ぶりの作品です。パリで活躍した画家・藤田嗣治を描きます。


物語

1920年。若くしてパリに渡り10年を過ごしていたフジタ(オダギリジョー)は、乳白色の裸婦像を描いて絶賛され、「フーフー」という愛称で呼ばれ、カフェの人気者となっていた。「フーフー」はお調子者という意味だったが、多くの人に名前を覚えてもらえるからと、こう呼ばれることを喜んでいた。名前が売れない時代を支えてくれた2番目の妻・フェルナンド(マリー・クレメール)とは別れ、新しい彼女ユキ(アナ・ジラルド)と暮らしていた。「5人の裸婦」の評判もよく、モンパルナスでは、仮装舞踏会を開き、お祭り騒ぎの夜を過ごしていた。

 FOUJITA
(C) 2015「FOUJITA」製作委員会/
ユーロワイド・フィルム・プロダクション


1940年。「国民総力決戦美術展」が各地を巡回していた。この展示会の中で、日本に戻ったフジタが描いた「アッツ島玉砕」は、特別展示されていた。絵の前で手を合わせ祈る人々の姿を見て、フジタは、画が人を動かすことをはじめて知った。フジタが帰る麹町の家には、5番目の妻・君代(中谷美紀)がいたが、空襲がはげしくなり、田畑が広がる山村に疎開する。農家の離れを借りて、アトリエと住まいにした。母屋には、母(りりィ)と小学校教師の寛治郎(加瀬亮)が暮らしていたが、寛治郎に2度目の赤紙が来た。

 FOUJITA
(C) 2015「FOUJITA」製作委員会/
ユーロワイド・フィルム・プロダクション


 

戦後、再びパリに渡ったフジタは、パリの国籍を取りカトリックの洗礼を受けます。十字架上のイエスなど宗教画を描き、教会を設計します。日本に帰ることはなく、フランスで生涯を終えます。

小栗監督の、静かに物語を進める独特の世界観が、フジタの人生と個性をひきたてます。フランスでの若き日のフジタと、あまりにも違う戦時中を日本で過ごす中年のフジタは、いったい何が違うのでしょうか。エンディングロールの背景に流れる、フジタの宗教画はとてもステキで、じっくりと眺めたいと思いました。フランスと日本の文化の中で生きたフジタが、時代の中でどのように生き、画風を固めていったのか、オダギリジョー演じるフジタをとおして、藤田嗣治に興味を抱きました。



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