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放射能を浴びた[X年後]2

2015年11月

 [X年後]2

  • 監督・撮影:伊東英朗
  • 作曲:井内竜次
  • ナレーション:鈴木省吾
  • 出演:川口美砂
  • 配給:ウッキー・プロダクション

2015年 日本映画 86分



広島と長崎への原爆投下から9年後の、1954年3月~5月まで、米国は太平洋のマーシャル諸島のビキニ環礁で、キャッスル作戦と称した水爆実験を行いました。実験は6回行われましたが、最初の3月1日の水爆実験は広島に落とされた原爆の1,000倍以上の破壊力がありました。マグロの豊かな漁場であるマーシャル諸島には、日本からも、たくさんのマグロ船が漁をしていました。第五福竜丸は、実験の行われたすぐ近くで漁をしていました。乗組員たちは、まぶしい閃光とキノコ雲を見、珊瑚礁が破壊されて空から降る「黒い雨」を体に受けたのです。

核実験が行われたこと、漁師たちが強力な放射能を浴びたことは、本人にも、家族や地域にも知らされていませんでした。漁を終えて日本の港に帰ってきた漁師や船は、その後どうなったのか。日本の政府、社会は、どのようにして放射能を浴びた第五福竜丸を迎えたのか。

高知からも、270隻が漁に行っていました。1985年(昭和60年頃)高知の高校の生徒と教師は、乗組員である漁民を訪ね、聞き取り調査をはじめました。何年もかかって取材した愛媛の南海放送の番組が「放射能を浴びた X年後」と題して2012年9月に全国で公開されました。

「放射能を浴びた X年後」が高知で公開されたとき、亡くなった乗組員の娘さんが見ました。「父が若くしてガンで死んだのは、もしかしてこのときの放射能を浴びたことによるのではないか」。そう思った川口美砂さんは、伊東監督の働きに参加したいと思い、少なくなった生存者から話を聞き歩きました。今回の映画「X年後2」は、川口さんの歩みを追ったものです。

 X年後
試写であいさつする伊藤監督と川口美砂さん


生存者、また遺族を訪問しながら、彼らが、川口さんと同じように、何も知らずに過ごしてきたことが分かってきます。当日の国内外の映像もまじえて、先の映画よりさらに拡大して福竜丸だけではなかった歴史をひもといていきます。

「知らないということは、存在しなかったことになる」という、娘さんの言葉が重く残ります。この恐ろしい現実を、多くの方に知っていただきたと思います。ぜひご覧ください。



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