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創造と神秘のサグラダ・ファミリア

2015年11月

SAGRADA

 サグラダ・ファミリア

  • 監督・脚本:ステファン・ハウプト
  • 出演:ジャウマ・トーレギタル、外尾悦郎、ジョルディ・ボネット、ジョアン・リゴール、ジョアン・バセゴダ、ライモン・パニッカー、ルイス・ボネット
  • 配給:アップリンク

2012年 スイス映画 1時間34分



スペイン・バルセロナの町の中に立つ、高い尖塔を持つ教会建築、サグラダ・ファミリア。スペインが誇る建築家アントニオ・ガウディの設計で、1882年に着工されましたが、133年を経た今でも完成する様子が見えない大きな教会です。ガウディ亡き後、彼を慕う人々、彼を尊敬する人々が建築にかかわり、ガウディの意図を継いでそれぞれが建築していくという、いとも不思議な方法で完成を目指しているサグラダ・ファミリア。日本人の彫刻家外尾悦郎氏も参加しています。

 サグラダ・ファミリア
(C) Fontana Film GmbH, 2012


メインとなる聖堂が完成し、時の教皇ベネディクト16世によって聖別されて、祈りの空間ができ、典礼が行われるようになりました。しかし他の部分では、今もクレーンが立ち並んで建築が行われ、彫刻がなされ、ステンドグラスをはめこむ作業が行われています。ガウディの設計ということから、またその建築様式のユニークさから、さらに100年を経ても完成していないことから、カトリック教会の中だけでなく、世界の人々から注目されています。

建築中にもかかわらず、2005年に世界遺産に登録され、年間300万人を超える観光客が訪れるようになりました。それによって建築資金が安定するようになり、作業員が100人増員され、一気に完成の時が見えてきました。後11年で完成を見ると言われています。

 サグラダ・ファミリア
(C) Fontana Film GmbH, 2012


ガウディの建築物は、どれも不思議な形をしています。しかし、その背景には、自然を取り込んだデザインや、緻密な計算がされています。サグラダ・ファミリアも例外ではありません。サグラダ・ファミリア全体が、神の神秘、イエスの生涯を表現しています。現場監督のジャウマ・トーレギタル、彫刻家の外尾悦郎、ガウディ王立研究室ディレクターのジョアン・バセゴダ、主任建築家のジョルディ・ボネット、サグラダ・ファミリア・ファンデーションのジョアン・リゴール、宗教学教授のライモン・パニッカー、聖職者のルイス・ボネットなど、あらゆる分野の人々へのインタビューと、毎日の現場の様子が、職人たちの働く様子を交えて映し出され、ガウディがサクラダ・ファミリアに込めた思い、教会の意味、人々の日常生活の中にある教会の使命が、浮き彫りにされてきます。着工から今にいたるまでの歴史、また完成までの展望を含め、現地を訪れても見ることができない現場にカメラは入っていきます。

 サグラダ・ファミリア
(C) Fontana Film GmbH, 2012


サグラダ・ファミリアに興味のあるかただけでなく、建築に興味のあるかた、また現代における宗教について関心のあるかたは、ぜひ、ご覧ください。ガウディの壮大な構想の前に圧倒されながら、その向こうにガウディが見ていた神の宇宙的存在を感じる作品です。

「神は急いでおられない。焦らなくていい」というガウディの言葉が心に残ります。


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