Laudate | 女子パウロ会公式サイト

先日、生誕90周年を迎えたエリザベス女王、国民から大きな祝福を、元気に受けていらっしゃいました。最高齢、最長在位となったエリザベス女王ですが、若き日のある一夜、お忍びで街にでかけたことがありました。まさに「ローマの休日」。「英国王のスピーチ」に登場するエリザベスはまだ子どもでしたが、19歳になったエリザベスは、自分が王位継承者であることを意識していた、そんなときのお話です。

物語

1945年5月8日、ドイツとの長い戦争が終わり、イギリスは戦勝記念を祝っていた。お城の外の騒ぎを知ったエリザベス（サラ・ガドン）とマーガレット（ベル・パウリー）の心も、うきうきしていた。妹のマーガレットの積極的な姿勢に押されたエリザベスは、「国民と一緒に、この勝利を祝いたい」「今を逃したら、機会はない」という希望を強く伝えて、しぶる国王ジョージ6世（ルパート・エヴェレット）から外出許可を得た。娘たちが城の外に行くことを心配する王妃（エミリー・ワトソン）が出した条件は、1時までに帰ること、二人の近衛兵を従えることだった。

ちょっと不自由だが、大喜びのエリザベスとマーガレットはさっそくドレスに着替えると、車に乗りお城を後にした。車が止まったのは、リッツホテル。奥の特別室に通されると、貴族たちがあいさつをしようと集まってきた。エリザベスがあいさつを受けながら「これは母のしわざだ」と気づいたとき、マーガレットの姿が見えなくなっていた。二人の近衛兵は酒に酔い、マーガレットを探しにホテルを出たエリザベスの姿を見失っていた。

バスに乗ったマーガレットの後ろ姿を見たエリザベスは、後のバスに飛び乗った。窓越しに「トラファルガー広場へ行く」と伝えるマーガレット。しかし、エリザベスのバスは別の行き先だった。乗車券を要求されたエリザベスは、お金を持っていず、無賃乗車を疑われると、隣の席に座った兵士ジャック（ジャック・レイナー）が立て替えてくれた。エリザベスは、ジャックに妹捜しを手伝ってくれるよう頼む。

エリザベスとジャックがパブに入ると、ちょうど国王のスピーチが始まるところだった。どもらないで話せるだろうか、エリザベスは心配しながらラジオに耳を傾けた。

ジャックの力を借りながらマーガレットを捜すエリザベス。この夜の波乱に満ちた出来事が、エリザベスに女王としての自覚を与えることになります。その後、女王になり、今に至るまで64年という長い在位を誇るエリザベス女王。彼女の支えとなっているこの夜の一瞬を、わたしたちは見ることができるのです。