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さとにきたらええやん

2016年 7月

 

 さとにきたらええやん

  • 監督・撮影:重江良樹
  • 音楽:SHINGO★西成
  • 配給:ノンデライコ
  • 配給協力:ウッキー・プロダクション

2015年 日本映画 1時間40分









大阪にある日雇い労働者の街・釜ヶ崎。少年が自転車を走らせている。商店街の狭い道、行き交う人々を上手にかわし進んでいく。彼が自転車を止めたのは、「こどもの里」の前。1階のドアを開けると、にぎやかな子どもたちの声が聞こえてきた。

さとにきたらええやん
(C) ガーラフィルム・ノンデライコ


「こどもの里」には、学校に帰りに寄る子もいれば、お母さんが働くために預けられている赤ちゃんもいる。言うことをきかない我が子に手をあげてしまいそうだと、疲れたお母さんがやってきて子どもを預けて帰っていく。2・3日でも子どもと距離をおくことで、心身を休め自分を取り戻すことができる。「こどもの里」には、0歳児から20歳までの子どもが、障がいの有無や国籍を問わず、無料で受け入れてもらえる。さまざまな理由で、子どもや親たちがやってくる。

ここを取り仕切っているのは、荘保共子さん。1977年に釜ヶ崎の子どもたちに健全で自由な遊び場を作りたいと、ミニ児童館「こどもの広場」を開始した。1980年には、現在の場所で「こどもの里」を開設、以来、西成地区の子どもたちの成長を見守ってきた。「こどもの里」は、子どもたちの遊び場であり、学習の場であり、親たちの休息の場であり、何でも相談できる相談室であり、いつでも泊まることができ、使用料はタダ。年中開いている。荘保さんはデメキンという愛称で呼ばれ、子どもたちと親たちの心の支えとなっている。「困ったときは、いつでも来て!」と、声をかける。

さとにきたらええやん
(C) ガーラフィルム・ノンデライコ


ある日、デメキンが倒れ入院した。突然の出来事に、職員も子どもたちも動揺した。小学生のころから「こどもの里」で生活している高校生のマユミちゃんは卒業を迎え就職が決まっていた。「こどもの里」からも卒業しなくてはいけないが、デメキンが倒れたことにより自分のこれからの道を深く考えた。そして出した結論は……。

さとにきたらええやん
(C) ガーラフィルム・ノンデライコ


 

重江良樹監督は、映画学校に行っているときに、社会性のあるドキュメンタリーが撮りたいと思っていました。思いつきで行った釜ヶ崎で、たまたま「こどもの里」の前を通ったときに、中から走り出してきた二人の子どもを見て驚きました。それから「こどもの里」に通いはじめて5年を経たとき、スクリーンをとおして観た人を元気にでき、また社会が考えるべき問題がここにあるという思いから、撮影許可を得て撮影をはじめました。

子どもたちを、地域で支える。家庭を築けない親子が集まって、ここが大きな家庭となる。困ったことを抱えている人々が、ここで重荷を下ろし、凝り固まった肩をほぐしていく。神が人間に与えてくださった「人を思う心」に触れる映画でした。



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