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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争

2016年 8月

LITTLE BOY

 リトル・ボーイ

  • 監督・脚本:アレハンドロ・モンテベルデ
  • 脚本:ペペ・ポーティーロ
  • 作曲:ステファン・アルトマン、マーク・フォスター
  • 出演: ジェイコブ・サルヴァッティ、エミリー・ワトソン、
         マイケル・ラパポート、デヴィッド・ヘンリー、
         ケイリー=ヒロユキ・タガワ、トム・ウィルキンソン
  • 配給:東京テアトル

2014年 アメリカ映画 1時間46分

  • ルミナス賞作品賞、最優秀監督賞、新人賞受賞

大好きなお父さん。そのお父さんが、お兄ちゃんの代わりで戦争に行ってしまった。どうしたら、お父さんが帰ってくるのか。8歳の男の子は、これをしたらお父さんが帰ってくると司祭から渡された項目をひたすら果たししていく。周囲の人々から笑われながらも、思いを込めて念力を願う。「幼子のようにならなければ…」という聖書の世界を思わせる少年の一途な思いが、大人たちの心をも変えていく。少年の一筋の思いを描きながら、第二次世界大戦下で差別を受けていた日系人、そして、アメリカ側から見た原子爆弾の日本への投下に対するアメリカの様子を入れた作品「リトル・ボーイ」は、信じる思いと戦争と平和についてのポイントを与えてくれました。



物語

第二次世界大戦のアメリカ。カリフォルニアにある小さな村に、両親と兄と住むペッパー(ジェイコブ・サルヴァッティ)という8歳の男の子が住んでいた。身体が小さいので、村の人々から、また近所の悪ガキから「リトル・ボーイ」と呼ばれていた。いじめられているペッパーを愛し、大事にしてくれているのは、相棒としていつも近くにいてくれる父のジェイムズ(マイケル・ラパポート)だった。

リトル・ボーイ


戦争が激しくなり、兄のロンドン(デヴィッド・ヘンリー)が入隊審査を受けることになったが、扁平足が原因で審査に落ちてしまった。気落ちする兄の代わり、ジェイムズが出兵することになった。「すぐ帰ってくる」という父の言葉を信じて待つペッパーだが、フィリピンで日本軍の捕虜となったという知らせが届いた。母親のエマ(エミリー・ワトソン)をはじめ、ロンドンもペッパーも、力を落としてしまった。

父のことが心配で食事も取れないペッパーを憂い、エマは、ペッパーが大好きなマジックショーに連れていくようロンドンに頼んだ。マジックショーを見ながら、かつての父との楽しい時間を思い出したペッパーは、元気を取り戻した。そのとき、ペッパーはアシスタントをするようにステージに呼ばれた。ビンを動かすマジックを成功させると、ペッパーは、自分も力を出せば父を呼び戻せるのではないかと信じるようになり、毎日海辺に行っては、海のかなたに向かって手を伸ばし、父に向かって念力を送りはじめた。

ある日、合衆国に忠誠を誓ったことにより収容所から出ることができた日系人ハシモト(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)が、村に移り住んだ。村人たちは、「ジャップは出て行け」とハシモトをのけ者にした。父を捕虜にした日本人ということで、ペッパーもハシモトを敵視した。ペッパーは、身体が大きくいかめしい顔をしたハシモトの家に恐る恐る近づくと、石を投げて窓ガラスを割ってしまった。

リトル・ボーイ


翌日、ペッパーは教会のオリバー神父(トム・ウィルキンソン)に呼び出された。神父はペッパーに、マジックショーでやったようにビンを動かしてほしいと言った。ペッパーは一生懸命に念力を込めたが、机の上のビンは動かなかった。あきらめかけたとき、神父がビンを持ち机の端に動かした。ビンを動かしたいというペッパーの強い願いが神父に伝わり、神父はビンを持って動かしたのだという。信仰の力が神に届けば、神が願いをかなえてくれるかもしれないと諭す神父は、教会に古くから伝わる信仰の行いを守るようにと、ペッパーにリストを書いた紙を手渡して言った。「君の心に、少しでも憎しみがあってはいけない。」そのリストの一番下には、「ハシモトに親切を」と書かれていた。

父が早く帰ってくるようにと願うペッパーは、リストの項目を果たしていこうと、勇気を出してハシモトのもとを訪れた。

 

「からし種、一粒ほどの信仰があれば…」。小さくても固い信仰があれば山をも動かすことができるとイエスは言いますが、まさに、純粋な思いで、ペッパーは父の帰還、戦争の終わりを信じて行動します。助けてくれるのは、父を捕らえた憎い敵国の人。ペッパーとハシモトとの友情は、さまざまなしがらみから解放された者だけが味わうことができる深い信頼関係を育てていきます。自分の心に覆いをかけない生き方を、ペッパーとハシモトの友情から学びました。



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