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お薦めシネマ
戦場のメロディー
2016年11月
A MELODY TO REMEMBER
日本が振り返る直近の戦争は第2次世界大戦ですが、韓国では朝鮮戦争やベトナム戦争になるようです。「戦場のメロディー」は、1950年に始まった朝鮮戦争下で、戦場や軍の病院で慰問活動をし、傷ついた多くの兵士たちの心をいやした、実在していた児童合唱団のお話です。朝鮮戦争での孤児は10万人といわれています。養護施設で暮らす子どもたちや非道な大人の元で手下として悪事を働き生きのびる孤児たちの辛い体験をいやすためにも、大きな声で歌うことは生きる力を与えました。彼らを、イ・ハン監督の優しい視点がつつみます。
物語
1945年に日本の支配から解放されたにもかかわらず、朝鮮半島は米国とソ連によって二分され、やがて民主主義と共産主義の違いから対立が激しくなり、1950年、ついに朝鮮戦争が始まった。
前戦から離れている村の中でも、国防軍と赤軍の対立は激しくなっていた。村人や、父と兄オ・ドング(チョン・ジュンウォン)とトラックに乗って歌を歌っていたオ・スニ(イ・レ)は、近づいてきた国防軍の兵士にその歌を問われ、それによって兵士たちから赤軍と疑われた父親を目の前で殺されてしまう。
北朝鮮軍との前戦で激しい攻撃を受け戦っていた兵士サンシル(シワン)は、地獄のような戦いの中で友を失い憔悴しきっていた。1952年、釜山にいる部隊に転属になり、命令で孤児院の管理を任せられた。孤児院の院長パク・ジュミ(コ・アソン)は、女性ながらも全力を注いで子どもたちを守っていた。彼女は、戦争で手を失って義手をつけて「カギ爪の男」と呼ばれているカルゴリ(イ・ヒジュン)に管理され悪事をさせられている孤児たちのことを思い、心を痛めていた。
(C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD.All Right Reserved.
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戦地で受けた衝撃から抜け出せないでいたサンシルだが、孤児院の子どもたち一人ひとりの体験を知り、特にオ・ドングとオ・スニ兄妹の姿に心を痛めた。そんなサンシルにとって、ジュミが指導して歌を歌う子どもたちの歌声はいやしとなっていた。
カルゴリの下で金属を集めていた男の子が、不発弾に触れて命を落とした事故をきっかけに、子どもたちを劣悪な環境から守ろうと思ったサンシルは、孤児たちを集めた合唱団を作ることを思いつく。そこには、傷ついた子どもたちの心を、音楽によっていやしてあげたいという思いもあった。
やがて、孤児院の子どもたちや悪さをしているカルゴリの子どもたちを集めて、合唱団の選考会が行われることになった。ハーモニーが重なる歌声に美しさを感じていく子どもたちは、次第に合唱に喜んでいったが、ただ一人スニは合唱に加わろうとせず、ジュミの傍らに座っているだけだった。
今でも歌われている名曲「故郷の春」を歌う子どもたちの声が、心に残ります。
小さいながらも、兄として必死に妹を守る兄オ・ドングを演じるチョン・ジュンウォン、小さい心で一生懸命に考えてもう歌は歌わないと決めた妹オ・スニを演じるイ・レに涙してしまいます。彼らのような子どもたちに、このような辛い体験を二度とさせてはいけないと、強く思いました。