Laudate | 女子パウロ会公式サイト

2009年に実際に報道されたニュースが心に残っていたクワン監督は、「ここまで自己犠牲ができるのだろうか」と疑問に思っていましたが、あるとき実際に主人公となる園長に会う機会があり、彼女の話を聞いて感動し、ぜひ映画にしたいという強い思いから生まれた作品です。

子どもを思い、なんとかしなくてはと身体が動いてしまう主人公の愛と、彼女の志をささえる夫の夫婦愛がすばらしいです。

物語

エリート幼稚園の園長として、子どもたち一人ひとりの存在を大切にしているルイ（ミリアム・ヨン）は、効率を重視する他の先生や保護者たちと意見が合わず、園長の職を辞することになる。一方博物館に勤務している夫のドン（ルイス・クー）は、実物の展示物が大切だと考えているが、バーチャルな展示を考えている博物館側の考えに失望していた。

ルイから退職したことを聞いたドンは、博物館との契約が切れる半年後に、二人でゆっくりと世界一周の旅に出ようと提案する。突然時間ができたルイは、今までできなかったこと語学教室に通ったり、スポーツジムに通ったりするが、どこか落ち着かない。そんなとき、テレビから流れてきたニュースに見入る。「出生率が低くなっている中、名門校は希望者が多いが、地方の幼稚園は希望者が少なく、廃園になるところが多い。ユンティエン（元田）幼稚園も、その一つだった。経営が難しく、園長や先生が辞めてしまい、代理教員と園児5名が残された。園長兼先生を月給4,500香港ドルで募集している」というのだ。

取り残された園児たちのことが気になってしようがないルイは、思い切ってユンティエン幼稚園を訪ねてみた。丘の上の園舎は、まるで廃屋のような状態で、ひっそりとしていた。窓から中をのぞくと、園児たちが顔を隠すような大きなマスクをし、外の人を恐れていた。ルイは、今までの経験を生かして子どもたちの気持ちを引きつけ、子どもたちと打ち解けていった。そして、園長に応募することにした。

世界一周の旅はどうするのか、手術したばかりの身体は大丈夫かと心配するドンを説得し、ルイは園長に就任した。しかし、早速大きな困難が待っていた。1人の園児が今年卒業するが、その後、園児を5名確保できなければ閉園にするという決定がなされていたのだ。閉園にして園児たちを他の幼稚園に行くようにするか、または新しい園児を確保するか。ルイは、園児たちの状況を知るために、家庭訪問をすることにした。

園児たちの家庭環境を知るうちに、幼稚園だけの問題ではなく、互いの家庭や地域とのかかわりの中で子どもたちを育てていくことの大切さが見えてきます。ルイ園長の熱意が、保護者や地域の人々を引きつけていきます。子どもたちのけなげさが、胸を打ちます。